中国系進学塾の見学会を開催しました!
ご訪問いただきありがとうございます。
日本語教師こんぶの会です。
今日2月1日14:00~16:30、スピンオフ企画として中国系進学塾の見学会を開催しました!
今回はそのご報告です。
今回、見学させていただいたのは、高田馬場にある啓程塾さん。
今日までさまざま打ち合わせさせていただき、万全の準備をしていただきました。
最初に告知してから、予想以上の反響で、1週間を待たずに定員(30名)に達するという、日本語教師こんぶの会始まって以来の!!!事態に、恐怖すら覚えたメンバーも(汗)
当日も、数名のキャンセルがありつつも、最終的に定員を超える31名の方々にご参加いただくことができました。
いつものとおり、まず「私たちは何者か?」と今回の企画の経緯について簡単にご説明した後、グループ内で軽くアイスブレーク。
その後3班に分かれ、見学ツアーに出発!
戻ってきてから塾が用意してくださった飲み物やお菓子をいただきつつ、まずは塾側の説明をお聞きました。
その際、申し込み時にいただいていた塾への質問にも答えていただきました。
以下に質問とその答えをご紹介します!
Q:入塾条件はありますか?
-ありません。
Q:塾講師はどのような人ですか?
-中国人が約8割、日本人が約2割で、正社員化を進めていますが、非常勤講師は大学、
大学院の在学生です。
Q:採用基準は?
-まずは日本での受験経験があること。そして面接試験のあと模擬授業をしてもらいま
す。出身大学も考慮します。
Q:日本人教師による面接指導はどのくらい行われていますか?
-学生の希望に応じて行っています。
Q:研究計画書や志望理由書の添削は、どのような形で?
-別料金はもらわず、希望者に対して中国人、日本人が行っています。
Q:授業はどのような形態ですか?
-学部志望者は合同の一斉講義形式、大学院志望者は個別指導です。
Q:EJUの点数が高くない学生への進学指導は?
-日本語学校と同じように、困っています(笑)行きたいところにチャレンジはしてもら
いたいけれど、現実的に考えてレベルに合う大学、を勧めています。
Q:2月になると、塾の進学指導が受けられなくなり、急に日本語学校に頼ってくる学生がい
ますが?
-私たちは最後までやっています。
Q:目標設定はどのようにして決めますか?
-基本は入塾時のヒアリングに基づき、面談を通じて1年スパンで決めていきます。
Q:学生のクラス(レベル)はどのように決めていますか?
-レベルによるクラス分けはほとんどしません。講義形式の一斉授業なので。
Q:学生について、出席率、成績、学習態度など重視していることはありますか。
-学生はお客様なので、強く注意することはあまりありませんが、最近出席も取り始めま
した。
Q:日本語に特化した授業はありますか?
-ありません。
Q:授業での使用言語は?
-中国語です。板書は日本語です。
Q:宿題はどういったものが多いでしょうか?
-授業の内容によります。
Q:進学先について、学位のためだけに進学を希望している学生もいますが…
-特にそれだけのために行っているわけではありません。
Q:志望校に偏りがあるように思われますが…?
-塾や講師によっていろいろですが、こちらから指定することはありません。
Q:提携している学校はありますか。
-大学はありますが、専門学校はありません。
Q:塾同士で情報共有はありますか?
-基本的にはありません。講師の兼任も認めていませんから。しかし、個人的なつながり
がある場合、最近の状況など話すこともあります。
Q:保護者との連絡は密にしていらっしゃいますか?
-全員ではなく、いわゆるお得意さん、一部の学生だけです。
Q:何年先まで需要があると見込んでいますか?
-私たちは、いわば日本語学校の末端です。日本語学校があるかぎりは需要もあるのでは
ないかと考えています。
Q:学生には日本語学校について何か言っていますか?
-大学進学を考える場合、出席率が大事なことは繰り返し伝えています。また、非常勤講
師の多くは日本語学校の学生だったわけで、ときどきポロっと悪口が出ることもあるよ
うですが、こちらとしては注意しています。私たちは塾なので、まずは得点を重視する
わけですが、会話能力を高めるのは日本語学校だとも言っています。そのためにも、し
っかり連携したいのです。
Q:日本語学校に求めることは?
-私たちは学生が自分の希望の進学をするという、同じ目標を共有しています。その点か
らも、しっかりコミュニケーションをとって話し合いたいと切に思っています。出席率
などに関して確実な情報をもっているのは日本語学校の方ですから、連携できるといい
ですね。
Q:美術系の指導について教えてください。
-私たちは、技術、面接、研究計画書の指導を個別にするのではなく、すべてがつながっ
ていると考えています、そのためにもっとも重要なものは、まず日本語です。作品もも
ちろん大事なのですが、自分の考えを伝えられる能力、他者と繋がるツールとしての日
本語能力は重要で、私たちは挨拶から指導しています。こうした観点からも日本語学校
ではしっかり着実に日本語を学んでもらいたいと思っています。
この後、見学ツアーや塾の答えを受けて、率直な感想やさらに知りたいことなどをグループ内で意見交換してもらいました。
グループ内での話し合いはとても盛り上がっていたようです。
最後にグループ内で話したことを全体で共有。
塾への率直なお願い(?)や質問などに誠実にお答えいただきました。
特に、日本語能力を軽視している学生に対して、その大切さを言ってほしいという学校側の切実な?お願いに対しては、「その都度伝えている」とのこと。
また、美術系の研究計画書については、美術専門の講師でも学生自身の個性を否定することはできないので、しっかり文法をものにしつつ、学生自身の「なぜ?」を深めてほしいとのことでした。
2時間半の見学終了後も、塾の方とお話されている方々をお見受けしつつ、白熱の(?)見学会は終了しました。
今回、ブログ更新者が個人的に思ったことは、風通しを良くすることの重要性と、自らを省みることの大切さです。
塾の方がおっしゃる通り、私たちのクライエントは共通しています。まずは「知らない」ところから相手を知り、そこから協力し合えるところはしっかり協力し合う…今回、その第一歩が踏み出せたのではないか、と感じています。
また、ブログ更新者が授業で常に学習者に言っていることは、「相手に伝えるとはどういうことか?」です。
この点については、塾側とまったく同意見で、自分自身の「なぜ」を深めていくことはとても大切だと思っています。
一方で、私たち日本語教師はきちんと「なぜ?」を追求しているかな?と考えたのでした。
なぜ、今この勉強をしているのか、どのような到達点を目指しているのか、この授業によって何ができるようになるのか…などきちんと学生に説明しているでしょうか?
できないことを数え上げるのではなく、できることから始めようとしているでしょうか?
学校で決まっているから、初級から積み上げるのが常套だから、一斉授業だから、などに逃げていないでしょうか?
あくまでブログ更新者個人の見解ですが、進学は留学生活の全てではないと思っています。学習者の人生の中で、何かしら意味が見出せればよいのではないか、と。
もちろん思い通りの結果が得られることが一番なのですが、こればかりはどうなるかわかりません。
塾は日本語学校よりも切実に結果を求められるでしょう。
一方、日本語学校は学生一人一人のケアは得意分野なのではないでしょうか?
お互いにフォローし合いながら、今をがんばっている学習者が塾と日本語学校との板挟みになるようなことだけは避けたいなあ、と思っています。
最後になりましたが、今回の企画は、啓程塾さんから、自分たちのいいところだけではなく、全てをさらけ出して、日本語学校と連携しながら学生に応えていきたいという、熱い思いから実現しました。
今回大変好評だったことから、また第2弾、第3弾があるかも!?
今回ご都合のつかなった方、次回をお楽しみに(^^)
最後まで読んでくださった皆さん、ご参加くださった皆さん、そして塾の皆さん、本当にありがとうございました!!
日本語教師こんぶの会は、またワークショップも企画中です!
そちらのほうもどうぞよろしくお願い致します~