遺言相続の話9「相続登記未了土地のこと2」(所有者不明土地の戸籍調査より)
先般の研修では、所有者不明土地の戸籍調査の見方についてでした。
はっきり言って難しいの一言です。
土地の所有その考え方の基ともなるのは、平安時代(貴族の荘園制など)からあると言われます。有名な秀吉の太閤検地にも見られます。
しかし、所有者不明の土地は登記もされていないために、公共事業や災害復旧・民間の土地利用にも近年益々多大なる問題が出ていることに対して、所有者不明土地に対する法が制定されました。※➀
その為になす戸籍調査もまた一筋ではいきません。
日本の戸籍は世界的にも、素晴らしくしっかりしていると言われるものですが、下記の様な戸籍は変遷を遂げています。
<戸籍編成史>
・「壬申戸籍」明治5年(1872年施行)=干支の壬申から壬申戸籍と言うが、S44以降個人情報(前科など)に関わる事から閲覧さえも禁止となった。
・「明治19年式戸籍」明治19年(1886年施行)
・「明治31年式戸籍」明治31年(1898年施行)
・「大正4年式戸籍」大正4年(1915年施行)
・「昭和23年式戸籍」昭和23年(1948年施行)
・「平成6年式コンピューター戸籍」平成6年年(1994年施行)
ここで、ただ家系を調査するには、これらを遡っていくことになります。
しかし、土地所有者である相続人の調査には、時代毎の法(旧民法・新民法など)に照らしわせて決めなければなりません。
・明治31年7月16日から昭和22年5月2日以前に死亡している時は、旧民法を適用する。
・昭和22年5月3日から証わ22年12月31日以前に死亡している時は、応急処置法を適用する。
・昭和23年1月1日から昭和55年12月31日以前に死亡している時は、新民法(改正前の法定相続分)を適用する。
・昭和56年1月1日以降死亡の時は,新民法(現行民法)を適用する。※②
と言うように、分けなければならないので、ややこしいのです。
参照:
➀「所有者不明土地法(所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法)」H30.6.13公布。H30年法律第49号
②・旧民法=1890年(明治23年)公布、1893年施行。家督相続制度である事。
・新民法=1896年(明治29年4月27日、1編総則・2編物件・3編債権)1898年(明治3年、4 編親族・5編相続)公布し、1898年施行。
1947年(昭和22年)4編親族5編相続を大幅に改正。1~3編も部分改正。
・応急措置法=「日本国憲法の施行に伴う民法の応急措置に関する法律」(総和22年5月3 日施行・昭和23年1月1日より効力を失う)
国交省HP:「所有者不明土地問題に関する最近の取り組みについて」http://www.mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_tk2_000099.html