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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

最後の皇帝34-イタリアをめぐる戦争終結

2020.02.03 02:18

引退式で皇帝カール5世に寄り添っていた男が居た。オランイェ公ウィレムである。ウィレムは少年の頃から皇帝のお気に入りだった。そして皇帝のもう片側には息子フェリペ。皇帝の寝室まで立ち入れたのはこの2人だけだった。もちろん2人は親友で、ウィレムは息子の名前をフィリップと付けた。

スペインに帰ったフェリペは父の後始末に忙殺された。カール5世は、ヨーロッパ統一と対オスマン戦争で、スペインに莫大な借金をつくっていた。そしてフランスのアンリ2世相手にまだ戦争中である。。1555年12月に仏王と教皇が同盟、教皇はミラノを与えると、スペイン軍は教皇領に侵入した。

翌56年にはフランスもイタリアに侵入し、父フランソワ1世の夢見たナポリに迫った。そしてネーデルランドでも火の手があがった。要衝サン・カンタンの戦いで仏軍が敗北、フェリペは嫁の英女王メアリをも上陸させた。たまらぬアンリはイタリアを撤退して、全軍を北に投入して形勢逆転。

58年200年もの間英領だったカレーをフランスが占領、メアリは政治的危機に陥った。しかしもう仏西共に資金が枯渇して破産宣言せざるをえず、金が原因で半世紀続いたイタリア戦争は終結するのである。仏はトリノ近辺を除いてイタリアを放棄した。しかしこの講和会議で新しい事態が始まるのだ。

下はイタリア戦争終結のカトー・カンブレジ条約を結ぶフェリペ2世とアンリ2世