ZIPANG-4 TOKIO 2020 遠い昔、日本海側が『表日本』だった!2020年夏【国立工芸館】東京から石川・金沢へ
はじめに 記事をお届けするに当たり、昨夏、関東・東北地域を直撃した、強烈な台風19号と、続く21号の記録的な豪雨で、千葉や栃木、福島など5県の34河川で浸水被害や土砂災害により亡くなられた方々を始め、多岐に亘って被災された皆様へ心よりお見舞い申し上げます。また、このたび我が国の世界遺産である沖縄のシンボル首里城の正殿等主要部分の全焼被害が発生。やりきれぬ国民的ショックも癒えぬ中、重ねて2019年12月4日、アフガニスタン東部で長年医療と共に当地に用水路を完成させた国民的英雄、中村哲医師の暗殺事件が続きました。余りにも大き過ぎる一連の悲報に暮れた昨今です。今私達は世界平和の為に何が出来るか…?中村氏が遺した後姿から一人ひとりが何かを学び取り、その実践こそが目指した真の世界樹に繋がるものと思います。謹んで哀悼の意を捧げつつ。合掌
現代、日本海側は『裏日本』とか『鄙(ひな)の国』などと言われていますが、遠い昔、弥生時代(紀元前4~500年から 紀元後300年くらい)は日本海側が『表日本』であり、日本海を通じて様々な交流が行われていました。
金沢駅東口・・・東京から石川・金沢へ
鼓門
加賀宝生をモチーフとし 、木製の集成材により和風建築的に構成された「鼓門」は、「伝統と創造のまち金沢」をイメージさせ、アルミ合金とガラスを素材とした「ガラスドーム」は、雨に濡れないようにそっと傘を差し出す金沢の人のやさしさ、もてなしの心を表現しています。これらが 、周辺の景観とも調和し、金沢の新たなシンボルとして、憩い・やすらぎ及びにぎわい創出に寄与する景観となっています。
平成17年 第12回いしかわ景観大賞受賞
国立工芸館は兼六園周辺の文化の森に建つ
石川県の特徴
工芸王国・石川 豊かな文化の土壌
日本伝統工芸展入選者数 17年連続 全国第1位(人口100万人当たり)
人間国宝(工芸技術保持者)数 全国第1位(人口100万人当たり)
国立工芸館の移転について
第九師団司令部庁舎(左)と金沢偕行社(右)
第九師団司令部庁舎
登録有形文化財(建造物)
左右対称型の構成になり,正面のペディメントやピラスタ-,上下窓など簡素なルネサンス風の外観を見せています。
明治期の庁舎建築の好例。旧金沢城内に建築されたが,昭和45年に現在地に移築され,その際両翼の一部が切り縮められました。設計は,陸軍経理部。
金沢偕行社
登録有形文化財(建造物)
マンサ-ド風の屋根を持つ中央棟の左右に,寄棟の翼屋が付く構造になります。コリント式のピラスターやドーマー窓等バロック風の技巧的な装飾を用いた外観意匠は,全体として華やかで優れています。明治42年に現在地に移築したと伝わっています。
設計は,陸軍経理部。
日本海側初の国立美術館が誕生!!
国の地方創生施策の一環である政府関係機関の地方移転として、東京国立近代美術館工芸館が石川県金沢市に移転します。国立工芸館は、日本で唯一の国立で工芸を専門とする美術館であり、石川県への移転により日本海側初の国立美術館が誕生します。
工芸振興のナショナルセンターとして、重要無形文化財保持者(人間国宝)や日本芸術院会員の作品約1,400点をはじめ、現工芸館が所蔵する日本の工芸の歴史を語るうえで欠かせない美術工芸作品約1,900点以上が東京から移転します。
作品の展示や収蔵に必要な環境を整えるための準備期間を経て、2020年の東京オリンピック開催前のオープンを目指しています。
国立工芸館 〒920-0963 石川県金沢市出羽町2−3
国立工芸館が建つ兼六園周辺文化の森
国立工芸館の移転先となる、金沢市の「兼六園周辺文化の森」は、兼六園を中心とする半径1kmの範囲の中に、藩政期から近代に至るまでの各時代の歴史的建物や文化施設が集積した文化ゾーンです。
いしかわ赤レンガミュージアム(石川県立歴史博物館・加賀本多博物館)
旧陸軍兵器庫の赤レンガ棟を再生した建物は、国の重要文化財。ジオラマや大型画面での迫力ある映像などにより、石川の歴史と文化を学ぶことができます。
昔の衣装や道具を体験してあなたの憧れの時代にタイムスリップしてみては⁉
金沢21世紀美術館
誰もがいつでも立ち寄れ、様々な出会いの「場」となることを目指した現代アートの美術館
重要文化財であるいしかわ赤レンガミュージアムや、円形のデザインが有名な金沢21世紀美術館などが建ち並び、アーキテクチャーツーリズム(建築観光)としても魅力的なエリアです。
国立工芸館の移転により、藩政期からの石川県ゆかりの美術工芸品を扱う石川県立美術館をはじめとする周辺文化施設とあわせて、日本の工芸の全ぼうを一堂に鑑賞できるエリアが誕生します。
国立工芸館 完成イメージ
国立工芸館内平面図
国立工芸館 移築・活用する建物
第九師団司令部庁舎と金沢偕行社
両建物は、明治期に建てられた旧陸軍の施設であり、ともに国登録有形文化財です。
建物の解体にあたっては、移築・活用する部材を一つ一つ丁寧に取り外し、使用可能な部材については再利用しました。解体作業の中で、外壁や窓枠の色が建設当時と異なっていることがわかりました。移築に合わせて当時の色に戻し再現することで、文化財としての価値がさらに高まると期待されます。
主な移転作品
重要無形文化財保持者(人間国宝)や日本芸術院会員の作品約1,400点を所蔵
東京から、重要無形文化財保持者(人間国宝)や日本芸術院会員が制作した作品(約1,400点)をはじめ、現工芸館が所蔵する美術工芸作品約1,900点以上が移転します。
日本の工芸の歴史を語るうえで欠かせない作品が移転し、常設展や企画展が開催されます。
掲載作品は全て東京国立近代美術館所蔵
東京国立近代美術館 概要
東京国立近代美術館は皇居に近い北の丸公園に本館と工芸館を有し、広く近代美術への関心を喚起するための事業を展開しています。
東京国立近代美術館
当館は、日本で最初の国立美術館として、昭和27年(1952年)12月1日に中央区京橋に開館しました。かねてより待望されていた、同時代の美術をいつでも見ることのできる国立の展示施設として、旧日活本社ビルを建築家の前川國男氏の設計により改装し、その活動をスタートさせたのです。
その後、所蔵作品の増加と企画展の拡充等により、コレクションの展示が次第に制約されるようになったことから、美術館の移転が検討されていたところ、石橋正二郎評議員より美術館建築の寄附申し入れがあり、その厚意によって、昭和44年(1969年)、千代田区北の丸公園の現在地に、建築家谷口吉郎氏設計による新館が開館しました。
また昭和52年(1977年)には北の丸公園内の旧近衛師団司令部庁舎(重要文化財)に工芸館が開館し、現在に至ります。
本館の建築は、長年にわたり多くの方々に親しまれてきましたが、築30年を機に坂倉建築研究所の設計により大規模な増改築が施されました。
展示室の拡張、閲覧サービスのできるアートライブラリの整備、レストランやミュージアムショップの新設、休憩スペースの増設など、鑑賞環境の整備と充実ならびに耐震性の強化を図った工事は、平成13年(2001年)9月に竣工しました。
そして平成14年(2002年)1月、記念展「未完の世紀――20世紀美術がのこすもの」をもって、新たな活動を再開しました。
また平成24年(2012年)年には開館60周年を迎え、所蔵品ギャラリーの大規模なリニューアルを行いました。
本館は、合計すると約4,500㎡の展示スペースを有する、国内有数の美術館です。
4-2階の所蔵品ギャラリーでは、13,000点を超える充実のコレクションから選りすぐった約200点を展観する「MOMATコレクション」展を開催、日本の20世紀初頭から「いま」にいたる、日本画、洋画、版画、水彩、素描、彫刻、写真、映像などの多様なジャンルの作品を展示しています。
また、1,300㎡を有する1階の企画展ギャラリーでは、特定のテーマに基づいた国内外の美術作品を展示する企画展を年3~4回開催しています。
本館のアートライブラリは、国内外の画集、写真集、展覧会カタログ、各種美術参
考図書などを約15万冊、美術雑誌を約5千タイトル所蔵しており、一般の方々によ
る閲覧が可能となっています。
また、国内の美術図書室が多数参加している美術図書館連絡会(ALC: The
Art Library Consortium)に加盟し、同会が提供している美術図書館横断検索
(ALC search)では、当館の所蔵資料も検索することができます。
本館では、教育普及活動として企画展にあわせて講演会やシンポジウム、ギャラリートークなどを開催するほか、所蔵作品展でも、解説ボランティアによる毎日の所蔵品ガイドやハイライトツアー、キュレータートークなどを行っています。
学校団体に対しては、目的や特性に応じたきめ細やかな鑑賞プログラムや、未就学児を含むファミリーに向けたワークショップも提供しています。
近年の新しい取り組みとしては、英語による鑑賞・異文化交流プログラム
「Let’s Talk Art!」や、ビジネスパーソンに向けて「Dialogue in the Museum―
ビジネスセンスを鍛えるアート鑑賞ワークショップ」を行っています。
工芸館
東京国立近代美術館「工芸館」
工芸館は、東京国立近代美術館の分館として、近現代の工芸およびデザイン作品を展示紹介しています。その建物は、明治43年(1910年)3月に陸軍技師・田村鎮(やすし)氏の設計により建てられた近衛師団司令部庁舎を、美術館仕様に改修したものです。
第2次大戦後、荒廃したままに放置されていた旧司令部庁舎は一度取り壊しの対象となりましたが、明治洋風煉瓦造建築の一典型として、また、官公庁建築の重要な遺構として、その建築的価値を惜しむ声がよせられたことから、昭和47年(1972年)9月、「重要文化財に指定のうえ、東京国立近代美術館分室として活用する」旨の閣議了解がなされ、同年10月、「旧近衛師団司令部庁舎」として重要文化財に指定されました。
外観および玄関、広間の保存修理工事と、谷口吉郎氏による展示室の設計に基づく内部の改装によって、工芸部門の展示施設として再生した建物は、昭和52年(1977年)11月15日、東京国立近代美術館工芸館として開館しました。
修復にあたって建築当初のスレート葺に復元された屋根や、正面ホールから2階に伸びる両袖階段には、往時の重厚な装いを見ることができます。また、ゴシック風の赤煉瓦の簡素な外観は、四季折々に周辺の樹木と調和して、独特のたたずまいをみせています。
工芸館の所蔵作品展では、我が国の近・現代工芸の秀作を中心に、年に数回、3,700点を超す所蔵作品の中から120 ~140点の作品を選び、近代工芸の歴史をたどる展示や名品の展示、特定のテーマによる展示などを開催しています。
特別展及び共催展は、特定のテーマに基づいて国内外の工芸作品を展示するもので、年間2~3回開催しています。また、デザインに関する特別展を本館(2Fギャラリー4)で定期的に開催しています。
このほか、工芸館では毎年「東京国立近代美術館工芸館巡回展」を開催し、年2~3会場において工芸館の所蔵作品を全国で紹介する機会を設けています。
展覧会ごとにギャラリートークやアーティストトークを開催し、企画にこめたメッセージや作り手の思いに触れながら、工芸の魅力を伝えています。
また、初めての方でも気軽に工芸を楽しめる工芸館オリジナルのプログラム「タッチ &トーク」を定期的に行っており、工芸作品特有の豊かな質感に直接触れてもらいながら対話することで、来館者の「見る力」を引きだすことを目指しています。
「タッチ&トーク」は、幼稚園から大学まで、さまざまな授業の一環としても利用しており、年間で約100回程度実施しています。
美術作品の収集・保管について工芸館では、明治以降今日までの日本と海外の工芸及びデザイン作品を収集しています。特に、多様な展開を見せた戦後の作品の収集に重点を置いています。陶磁、ガラス、漆工、木工、竹工、染織、人形、金工、工業デザイン、グラフィック・デザインなどの各分野にわたって約3,800点を収蔵しています。
所在地
本 館 〒102-8322 東京都千代田区北の丸公園3-1 TEL 03-3214-2561(代表)
工芸館 〒102-0091 東京都千代田区北の丸公園1-1 TEL 03-3211-7781(工芸課代表)
東京メトロ東西線「竹橋駅」下車(1b出口)
本 館 … 徒歩3分
工芸館 … 徒歩8分
石川県とは
「多彩な職人芸は高度な精神文化を培い、世界共通アートの真髄を問いかける街」です。
皆様のお越しをお待ちいたしております。
鎹八咫烏記
伊勢「斎宮」明和町観光大使
石川県 いしかわ観光特使
協力(順不同・敬称略)
公益社団法人石川県観光連盟
〒920-8580 石川県金沢市鞍月1丁目1番地TEL:076-201-8110
〒460-0008 名古屋市中区栄4-16-36 久屋中日ビル3階TEL 052-261-6067
一般社団法人 金沢市観光協会
〒920-0858 石川県金沢市木ノ新保町1番1号 金沢駅構内 電話番号 076-232-5555
金沢市役所〒920-8577 金沢市広坂1-1-1(代表)TEL. 076-220-2111
石川県 〒920-8580石川県金沢市鞍月1丁目1番地電話(代表)076-225-1111
文化庁〒100-8959 東京都千代田区霞が関3丁目2番2号 電話番号(代表)03(5253)4111
参考
遠い昔、日本海側が『表日本』だった!関連情報を下記リンク記事にてご覧ください。
ZIPANG-2 TOKIO 2020 ~ 石州瓦物語(その9)~「石州瓦と北前船 日本海側が『表日本』の時代が再び、きっとやってくる‼」
ZIPANG-3 TOKIO 2020「神々からの贈り物 『奥の地』 奥出雲町の文化的景観とは【第三話】黄金に輝くいなた」
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夜明けとともに、読者からのご意見が届いておりますので一部ですがご紹介いたします!
『読者の声』
東京国立近代美術館が金沢に移転と聞いて驚きましたが、あくまでも工芸館のみということで 一部移転の認識で間違いなさそうですね。
私も人生で1度だけ金沢を訪れた機会がありましたが
最初に訪問した金沢21世紀美術館は正に「現代アートの代表格」といった所で
そこを訪れる方々の服装も洗練されていた印象が残っております。
やはり芸術に目を触れることで感性が磨かれますし、何より頭の刺激になりますね。
一般に金沢は「小京都」の認識ですが人間国宝の数全国1位などを見ると、
もしや京都以上の美術の街かも知れません。
『読者の声』
国立工芸館はとても立派な建物に復元されますね。
明治時代の姿を残しているところがよいと思います。
兼六園と国立工芸館の両方を見て回るのにはかなり
時間がかかりそうです。