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棒高跳の記録と関連する要因はなんだろうか?

2020.02.03 23:26

皆さま、明けましておめでとうございます。

昨年はたくさんの棒高跳関係の方に読んでいただき、HPを飛び出してお会いした方も多く、とても前進した1年でありました。

新たなメンバーも増え、本年も飛躍的に活動の場を広げていければと思います。

3周年を迎えた本年も変わらずご愛読いただけたら幸いです。

本題に入る前に連絡です!!


年末年始Boutaka Channelグッズをご注文頂き、ありがとうございましたm(_ _)m

商品が到着したらBoutaka Channelウエアを着ている姿を「#BoutakaChannel」をつけて投稿してください:)

全国各地でBoutaka Channelウエアを着た皆さんの姿を見られるのを楽しみにしています!!


遅くなりましたが、今回は中京大学大学院の榎が担当いたします。

年末年始は時間があったので、棒高跳の論文を読み漁ろうと思い、日本語論文を片端から読みました(笑)

ついでにレビュー論文も書こうと、現在執筆中です。研究者の方は少々お待ちください。

さて、前置きが長くなりましたが、本題にはいります。

今回は「棒高跳で高く跳ぶことに関連している項目は何なのか?」について、これまで公開された研究によって明らかにされていることをご紹介します。

ここから数記事に分けて、いろいろな観点においてまとめたものを書いていきます!!


【高く跳ぶためのポイント】

高く跳ぶこと(最大重心高および分析試技の記録)に関連している要因は、

① 握り高 (高松ら, 1998 [r=0.961, p<0.001])

② 助走速度 (高松ら, 1998 [r=0.755, p<0.05])

② 踏切速度 (高松ら, 1998 [r=0.719, p<0.05])

② 踏切足接地時および離地時の重心水平速度

 (武田ら, 2007 [TD: r=0.84, p<0.001; TO: r=0,86, p<0.001])

② 踏切局面における重心水平速度減速率

 (武田ら, 2005 [全体: r=0.83, p<0.001; 前半: r=0.60, p<0.05; 後半: r=0.67, p<0.01] ;

 武田ら, 2006 [全体: r=0.69, p<0.01; 後半: r=0.58, p<0.01])

③ 最大鉛直速度 (高松ら, 1998 [r=0.838, p<0.01]; 武田ら, 2007 [r=0.91, p<0.001])

④ 跳躍角 (武田ら, 2007 [r=-0.66, p<0.01])

⑤ ポール最大湾曲率 (武田ら, 2007 [r=0.54, p<0.01])

⑤ ポール弾性エネルギー (武田ら, 2007 [r=0.78, p<0.001])

⑤ MPB時のポール弦反力 (武田ら, 2007 [r=0.72, p<0.001])

の10項目が報告されています。


① グリップ高

まずは、握り高が高いと高く跳べます(笑)

これは説明するまでもないですね!!


② スピード

棒高跳にはスピードが重要です。

助走や踏切時の速度が高い、また踏切時に速度の減速が少ないことが関連しています。

棒高跳は助走で得られた運動エネルギーをポールの弾性エネルギーへ、そして競技者自身の位置エネルギー(高さ)に変換しています(物理ですね)。

つまり!助走において運動エネルギーが大きいほうが有利ということです!!

これも当たり前といえば当たり前ですね。


③ 上昇スピード

最大鉛直速度(上昇する速度の最大値)が高いことが関連しています。

ポールに蓄えられている弾性エネルギーが大きい、また効率よく弾性エネルギーを受け取れると、上昇する速度を高くすることが出来ます。そして、位置エネルギーに変換できていると考えられます。


④ 踏切の方向

踏切角が低いことが関連しています。

海外論文では、18度の踏切角度が良いとも報告されています。

一方、世界のトップ選手でも踏切角度には個人差が存在します。

(世界陸上2017ロンドン大会で入賞した選手に関する報告を見ると,男子は14~24度,女子は14~26度でした。)

皆さんも高い踏切をしすぎてポールが曲がらない、低すぎて沈んじゃうなんてことがありますよね。

高すぎず低すぎず・・・ですね!


⑤ ポールについて

ポールの曲がりが大きいこと、ポールの弾性エネルギーが大きいこと(ポールが最も曲がっている時に蓄えられている力が大きいこと)が関連しています。

ポールを大きく曲げられると、ポールの弦を短くすることが出来、結果的にグリップ高を高くすることに繋がります。

また、助走によって大きな運動エネルギーを獲得することで、長くて硬いポールを大きく曲げることが出来きます。このことは、ポールに大きな弾性エネルギーが蓄えられていることを意味します。

エネルギーをロスすることなくポールを曲げ、その結果としてポールの曲がりや弾性エネルギーが高くなっていると解釈しています。


実はもう1つの別の要因として、福岡大学の田村先生が「助走の調整能力」との関連を報告しています。この内容は次の記事で説明させてもらいます!


【まとめ】

要約すると以下のように説明できます。

『 高く跳ぶためには・・・

① 速い助走を行い、踏切で減速することなく鋭く踏み切る。

② その結果硬いポール、高いグリップで跳躍が出来る。

③ ポールが大きく曲がるとさらにグリップ高を高くすることにもつながる』

特に①の内容、助走で大きなエネルギーを獲得し、踏切ではエネルギーのロスを抑えることが大事です!!


高く跳ぶためには何が必要か、実験試技や試合を対象に調査することで明らかになっていることをまとめると、単純ではありますが、本質的な部分も見えてきます。

念頭に置いて練習し、記録の向上を目指しましょう!


「今回の記事、ちょっと難しくて理解できないよ~」という方!

今回の内容について、Boutaka Channelメンバーで対談しています。

以下のURLからYouTubeにとんで、通学・通勤中に聞いてみてください:)

今年は、ラジオを通して棒高跳に関するアレコレについて話したり、また皆さんの相談に答えたりしようかな~と考え中です!!お楽しみに!!


次回の記事は、田村先生が報告した助走の調整様式について紹介いたします。

お楽しみに!