大腿骨の病気
先日、ウサギではないのですが、ワンちゃんの大腿骨頭切除術を行いました。
まだ1歳にならないくらいのプードル。
先月中旬から急に左後肢をびっこし出したとのこと。
レントゲンを撮影してみると、
左の大腿骨の股関節の部位(大腿骨頭)が、透過性(本来白いはずが、透き通って見える)が増しており、大腿骨頭壊死症(レッグペルテス病)を疑いました。
数日後、手術によって大腿骨頭を切除し、今歩行のリハビリに取り組んでいます。
ヒトではこの病気ありますよね。
ウサギでも、レッグペルテスってあるのでしょうか?実際に症例を見たことがありませんし、教科書にも乗っておらず、経験がありません。
しかし、大腿骨頭切除が適応になるうさぎさんたちはいます。
・股関節脱臼
・骨頭骨折
・骨頸骨折
・寛骨臼骨折
などです。
股関節脱臼では、外固定など(ギブスで固定)をする選択肢が犬や猫ではあるのですが、うさぎさんにおいては、外固定のリスクが大きく存在すると思います。
皮膚の壊死、包帯を巻くことによるストレス、そしてずれること。
外固定はあくまで安静が前提となります。
ただ、うさぎさんにとって安静は難しいことです。
骨頭骨折などの骨折に関して、
プレートやピンなどによる骨折の外科手術は、非常に難易度が高いです。手術そのものも難しいのですが、うさぎさんの骨は大変もろく、薄いからです。
また、ずれがあった場合には、将来的に関節炎を生じるリスクは高まります。
大腿骨頭を切除して歩行ができなくなるのでは?
と心配される方は多いと思います。
周りに筋肉があるので、大腿骨があまりにも前に行ったり後ろに行ったりという心配はありません。むしろ、関節炎や再脱臼のほうがしんどいので、大腿骨頭切除は一度手術をしてしまえば、それ以上の心配は考えなくてすむケースがほとんどです。
しかし、脱臼や骨折が生じたということは、他の部位にもダメージがあるということを考えなくてはなりません。よって全身の評価が大事になります。
動物種によって治療の選択肢が変わるというのは、うさぎさんを診療する身としてよく経験します。うさぎって特別なんだなあ。
参考文献
できる!!うさぎの診療
著沖田将人 interzoo