ZIPANG-4 TOKIO 2020 國酒 「量より質の時代!? 日本酒の輸出総額が10 年連続で最高記録を更新中!」
はじめに 記事をお届けするに当たり、昨夏、関東・東北地域を直撃した、強烈な台風19号と、続く21号の記録的な豪雨で、千葉や栃木、福島など5県の34河川で浸水被害や土砂災害により亡くなられた方々を始め、多岐に亘って被災された皆様へ心よりお見舞い申し上げます。また、このたび我が国の世界遺産である沖縄のシンボル首里城の正殿等主要部分の全焼被害が発生。やりきれぬ国民的ショックも癒えぬ中、重ねて2019年12月4日、アフガニスタン東部で長年医療と共に当地に用水路を完成させた国民的英雄、中村哲医師の暗殺事件が続きました。余りにも大き過ぎる一連の悲報に暮れた昨今です。今私達は世界平和の為に何が出来るか…?中村氏が遺した後姿から一人ひとりが何かを学び取り、その実践こそが目指した真の世界樹に繋がるものと思います。謹んで哀悼の意を捧げつつ。合掌
國酒(こくしゅ)
日本酒造組合中央会にて「新春振る舞い酒」
日本酒造組合中央会とは、酒類業組合などに関する法律に基づいた業界団体で、酒類業界の安定と健全な発展を目的とし、全国の約 1,750 の蔵元(清酒、本格焼酎・泡盛、本みりん)が所属しています。また、『國酒(こくしゅ)』といわれる日本酒、本格焼酎・泡盛、本みりんについて情報発信することで、国内外に幅広く認知を向上する活動に取り組んでいます。
毎年10月1日は日本酒の日
日本酒の輸出総額が10 年連続で最高記録を更新中!
2019 年度の総額は234 億円を突破!
◎中国の伸び率は10 年前の約2,100%と驚異的!
◎韓国が落ち込むものの、イギリス、ドイツのヨーロッパ勢と新興国のブラジルが新たな伸びを示す
全国約1,730 の蔵元が所属する日本酒の業界団体・日本酒造組合中央会(東京都港区:会長 篠原
成行、以下:中央会)は、国内で最も早く、2019 年度(1~12 月)の清酒輸出総額を発表!
【輸出実績推移トピックス】
【全体】
●過去最高の輸出金額を記録。総額約234 億円(昨対比105.3%)
●数量では、前年比96・8%となり、量よりも質を求める方が海外のトレンドであることがわかりました。一升瓶(1.8
ℓ)に換算すると約1400 万本。一升瓶(高さ約40cm)を並べた距離に換算すると約5,600km(東京-
デンパサール間に相当)に達する計算となります。
【国別】
⚫金額・数量ともに第1位はアメリカ。一番堅調に伸びたのは中国(金額ベースで139.4%)。社会背景の余波もあり、韓国が前年比61.5%と落ち込むものの、新興国のブラジルが前年比127.9%と大きく伸長。
⚫ヨーロッパ諸国の中では金額ベースでドイツが119.6%、イギリスが115.2%の伸びをみせ、醸造所のあるイギリスと日本酒造組合中央会が展示会に出展を重ねてきたドイツでの日本酒認知が高まってきていることを感じさせる数字となっています。
⚫アメリカの次に、中国・香港のアジア諸国がランクイン。中でも、中国の伸び率は10 年前と比較して約2,100%
と驚異的で、現地での日本酒を取り扱う人が増えていることを裏付けています。
≪国別グラフ≫
■金額ベース ※単位:百万円
コメント
日本酒造組合中央会 理事/宇都宮 仁氏
日本酒は、日本文化・和食文化の重要な要素であり、日本酒輸出の増加は海外での日本食レストランの増加に支えられているところがありました。しかし、最近では日本酒と各国の料理との相性の良さに関心を寄せるソムリエ等が多くなってきていると感じています。今後は、さらに各国のソムリエ等に対して日本酒の可能性を提案していきたいと考えています。
また、東京オリンピック・パラリンピック期間中には、インバウンド向けに日本酒の多様な楽しみ方や酒蔵ツーリズム®等の PR を積極的に行う予定です。
日本の酒情報館 館長/今田周三氏
情報館を訪れる外国人が思い出に残る日本酒体験をして頂くことが、飲食店での消費や酒蔵への誘客、そして将来の日本酒輸出に繋がると考え、様々な形で日本酒の魅力を発信しています。
年々増え続ける外国人来館者に、確実な 手ごたえを感じています。
※参考:『日本の酒 情報館』
■東京都港区西新橋1-6-15 日本酒造虎ノ門ビル1F
常時70 種類以上の日本酒・本格焼酎を1 杯100 円から楽しむことができ、国内外からの人たちでにぎわっています。
※海外からの人たちは開館時に比べて3倍となっています。
また試飲だけでなく、日本酒にまつわる情報収集もできるうえ、酒蔵見学などの相談ができるなど、“コンシェルジュ”として
の役割も担っています。
交通アクセス
東京メトロ銀座線虎ノ門駅 9番出口徒歩3分
東京メトロ千代田線霞ケ関駅 C3出口徒歩4分
都営三田線内幸町駅 A4出口徒歩3分
JR線新橋駅 日比谷口徒歩8分
※団体(10名以上)で行かれる場合は、事前にご連絡をお願いいたします。
■その他、日本酒造組合中央会における海外へ向けた取組み
① 海外展示会への出展
ドイツで行われるVinexpo やProWein など、世界最大級のワイン・アルコール見本市に日本酒造組合中央会からも3年前より積極的に出展し、現地のディストリビューターや酒販店に対して、日本酒の理解を深めてもらう施策を行っていま
す。
② 海外サポートデスクの設置
イギリス・フランス・香港・アメリカに海外サポートデスクを設置。
現地の日本酒事情やトレンドなどを常にキャッチアップできるようにしています。
③ Japan Sake & Shochu Academy の実施
海外での日本酒・本格焼酎を取り扱う専門家へ向けて、歴史文化、原料や製造方法による味わいの違い、フードペアリングなどを知っていただくセミナーを実施しています。
今年は倍率が3 倍に達するなど、大変高く注目されています。
④ 酒蔵ガイドの認定
インバウンド需要に向けた施策ですが、来日した海外からの方々がよりスムーズに酒蔵見学を楽しめるよう、通訳案内士にお酒造りの知識をレクチャーしています。
3 年前から行っている研修会を修了した方は延べ約400 名。
今後も海外の
方が自国に帰ったあとも日本酒に親しんでいただけるよう酒蔵ガイド認定制度の取り組みを広げる検討をしています。
⑤ 日本の酒
情報館におけるPodcast 配信 『SAKE ON AIR』 日本の酒情報館から隔週でお届けする世界初の日本酒・本格焼酎の海外向 けPodcast の英語放送をスタートしました。実際に日本酒に携わる強力なイ ンターナショナルキャストが、日本の酒の魅力をたっぷりとお伝えします。
⑥ 「飲食店向けの英語による接客サポート」
インバウンド外国人の日本酒消費を促進するために、外国人を積極的に店に誘致し、案内をするためのツールを開発するとともに、店における接客やメニュー
などの英語化をサポートするセミナーを開催しています。
■日本酒造組合中央会について
日本酒造組合中央会とは、酒類業組合などに関する法律に基づいた業界団体で、酒類業界の安定と健全な発展を目的とし、全国の約
1,750 の蔵元(清酒、本格焼酎・泡盛、本みりん)が所属しています。また、『國酒(こくしゅ)』といわれる日本酒、本格焼酎・泡盛、本みりんについて情報発信することで、国内外に幅広く認知を向上する活動に取り組んでいます。
日本酒の歴史
三輪山の神語り
高橋活日(たかはしのいくひ)美酒を醸す
大物主大神(おおものぬしのおおかみ)を厚く敬った崇神(すじん)天皇は神に捧げる御酒を造るために、高橋邑の活日(いくひ)を掌酒(さかひと)に任じました。活日(いくひ)は酒造りの杜氏(とうじ)の祖先にあたります。そして活日(いくひ)は一夜にして美酒を醸かもしたと伝わります。崇神(すじん)天皇8年冬12月卯の日に大神への祭りが行われた後の酒宴で活日(いくひ)は御酒を天皇に捧げて次の歌を詠みました。
「この神酒は 我が神酒ならず 倭なす 大物主の 醸みし神酒 幾久 幾久」
(この神酒はわたしが造った神酒ではありません。倭の国をお造りになった大物主大神が醸されたお酒です。幾世までも久しく栄えませ、栄えませ。)
崇神(すじん)天皇と群臣(ぐんしん)は夜もすがら酒を酌み交わし、祭りの宴を楽しみました。この故実によりご祭神は酒造りの神として敬われるようになったとされます。三輪の地は美酒を産み出す酒どころとして人々によく知られていたのでしょう。
三輪の枕詞は味酒(うまさけ)で、額田王(ぬかたのおおきみ)の歌をはじめ「味酒(うまさけ)の三輪」は万葉集にも詠まれました。大物主大神(おおものぬしのおおかみ)は酒の神、三輪といえば美味なる酒を古代の人々は想起したのでしょう。
大神神社「杉のご神木と拝殿」
そして、大神神社のご神木は杉で、古来神聖なものとされてきました。やがて時代が下がって、酒の神である大物主大神(おおものぬしのおおかみ)の霊威(れいい)が宿る杉の枝を酒屋の看板とする風習が生まれ、軒先に酒ばやし(杉玉)を吊るすようになりました。
一休さんと杉玉
大和国一之宮 三輪明神 大神神社 酒ばやし「杉玉」
とんち話で有名な一休さん。その一休宗純禅師(そうじゅんぜんじ)に次の歌が伝わっています。
「極楽を いづくのほどと 思ひしに 杉葉立てたる 又六が門」
(極楽をどこらあたりだろうかと思っていたが、杉の葉をしるしに立てた、酒屋の又六の門であった。)
大徳寺門前の又六という酒屋、その酒屋で酩酊すればそこが極楽というユーモラスな歌です。元禄時代、英一蝶(はなぶさいっちょう)の「一休和尚酔臥(すいが)図」という画には杉玉を吊した酒屋の店先で酔い伏している一休和尚が描かれています。この画も人口(じんこう)に膾炙(かいしゃ)した先の歌が下敷きになっているのでしょう。
この和歌や絵画にあるように酒屋の看板がわりとして杉葉を束ねて店先に吊るす風習が行われました。これは大神神社の大物主大神(おおものぬしのおおかみ)が酒造りの神で、大神神社の神木である杉に霊威(れいい)が宿ると信じられたためです。
現在も多くの酒造業者に大神神社から「しるしの杉玉」が授与されています。拝殿と祈祷殿に吊るされている大杉玉も一年に一度、11月14日の酒まつりの前日に青々としたものに取り替えられます。
高山市上三之町酒屋の軒先に吊るされた「杉玉」一夜明けると積もった雪がアイスバーンに
加賀市「鹿野酒造」軒先には小屋根をつくり大切に「杉玉」が吊るされています。
創業は文政2年(1819)で、自社栽培している酒米・山田錦と白山の清冽な伏流名水である「白水の井戸」より湧出づる仕込水を使って、蔵人の手によって品質本位の酒造りを行っています。
出来あがったその酒は、ふくよかな香りと味のキレの良さが抜群であり、幾多の鑑評会では「金賞受賞」の実績となって示されています。
2010年にNHKプロフェッショナル「仕事の流儀」で放送された酒蔵です。
日本酒歴史年表
火入れ
1800 年代半ばになってパスツールが発見した“殺菌法”に先立ち、すでに室町時代(1400 年代)において、絞った清酒を貯蔵前に65 度程度に加熱、殺菌し、酵素の働きを止めて香味の熟成をはかる『火入れ』を行っていたという記録が残っています。
寒造り
一般に、日本酒は十一月頃から三月頃まで連続して仕込まれます。とりわけ“更に衣を重ねる”という如月(二月)は、寒気も一段と冴え、酒蔵はしんしんと冷え、酒造りにもっとも適しています。しぼりたての新酒のさわやかな味わいを賞味するには、最近では“初しぼり”とか“しぼりたて”とかいう名称を付けたびん詰品が、各地の蔵元から発売されるようになっています。
日本酒の日
中国古代の天文学、暦学から生まれた十二支は、本来、月のしるしで、日本では十二種の動物で表されています。十二支の10番目の酉は、「トリ」と読まれていますが、もともと、酉の字は壺の形を表わす象形文字で、酒を意味しています。
古くは一年の始まりは冬至に置いて、10番目の酉の月はいまの9月末から10月の頃にあたっています。そして新殻が収穫されて新酒が醸される月であったことを表しています。すなわち10月は古くから酒の月ということです。
いまでも10月は新殻が実る月であり、酒造りの始まる月であり、明治年間酒税法創設以来、10月から9月をもって酒造年度とされてきました。
こうした歴史を受けて、酒造家の中では10月1日を「酒造元旦」として祝う風習が残っているところもあります。
豊かな自然の恵みと日本人の知恵の結晶が日本酒であるともいえます。10月は全国各地に海の幸、山の幸があふれ、日本酒が本当に旨くなる月で、この月の1日を、「日本酒の日」と定めています。
鎹八咫烏記
伊勢「斎宮」明和町観光大使
石川県 いしかわ観光特使
協力(順不同・敬称略)
日本酒造組合連合会
〒105-0003 東京都港区西新橋1-6-15 日本酒造虎ノ門ビル TEL:03-3501-0101
日本の酒情報館
〒105-0003 東京都港区西新橋1-6-15 日本酒造虎ノ門ビル1F TEL:03-3519-2091
大和国一之宮 三輪明神 大神神社(おおみわじんじゃ)
〒633-8538 奈良県桜井市三輪1422 TEL 0744-42-6633
一般社団法人 加賀市観光交流機構
〒922-8622 石川県加賀市大聖寺南町二41 加賀市役所 別館4階 TEL 0761-72-0600
高山市役所 〒506-8555 岐阜県高山市花岡町2丁目 18番地 電話: 0577-32-3333
財務省 〒100-8940 東京都千代田区霞が関3-1-1Tel(代表)03-3581-4111
※画像並びに図表等は著作権の問題から、ダウンロード等は必ず許可を必要と致します。
早速、読者からご意見が届きましたのでご紹介いたします。
『読者の声』
数量は減っても金額ベースで言えば増加との事で、非常に興味深いデータですね。
もう少し深堀りする必要がありますがこの事から「日本酒(SAKE)のブランド化」が徐々に浸透しつつあると考えられそうです。
こうした輸出の動きも各酒蔵メーカーの担当者が海外現地商談会で地道にプロモーションを行った成果でもあると私は思います。何事も地道な事が積み重なることで大きな成果に繋がったりしますからね。
ここ最近では山崎蒸留所のウィスキーも価格が高騰しており、若年層にはストロングゼロといったチューハイが人気なようで
日本の酒造業界も正に「バトルロワイアル」といった所か。
話は少し逸れますが沖縄県でも毎年「島酒フェスタ」と呼ばれるイベントを開催しており、今年の4月にも第4回が開催されるようです。
若年層を中心に県内での消費量が年々減少しておりますが、地元のアイデンティティを確かめるため、参加してみようと思います。