「牛馬頭観音像」。
2015.05.22 15:15
(あしあと その187・東区の2・中沼の2)
中沼からぐるりと北方向に向かい、道道128号を福移に入ってしばらく進むと、中央バスの「福移小学校通」の停留所があります。その東進車線の歩道上にガラス張りのバス待合所がありますが、そのすぐ脇に2体の石像が鎮座しています。
その向かって左側が「馬頭観音像」、右側が「牛頭観音像」と呼ばれる石像です。石像は、パイプで組まれた柵に囲まれていて、住民の方々にとても大事にされていることがうかがえます。
馬頭観音像は、3つの顔と8本の腕を持つ三面八臂の像ですが、牛頭観音像は、顔の部分が欠けてしまってその容貌はうかがい知れません。ただ、牛の頭を模った飾りのようなものを頭の上に載せているように見えます。また、牛頭観音像の背面には、「昭和十二年十月 中山富次郎」と刻まれています。
福移一帯は、大正中期から昭和初期にかけて家畜の飼料作物を中心とした農業が盛んで、中山富次郎氏はその中心人物の一人なんだそうです。牛馬頭観音像は、人間の生活の一部として存在していた牛馬の霊を慰めるために建てられたものであり、この地域一帯でも交通の便が不自由であったころ、牛馬が重要な役割を担っていたことが想像できます。