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にっき 夜

2020.02.06 13:29



 家のなかの明かりというあかりが消え

狂気さえもかき消す闇に包まれるとき

あぁ と、うっとりするほどの幸福感。


窓の外は一面の闇であり、しかし、ときおりうす青くぼんやりと発光して 蛍のように。

消える。


聴こえる音は、昼夜を問わずはたらく空気清浄機のごうごうという音と

ぴた 、ぴた と不規則なリズムでおちる加湿器の水の音のみだった。


わたしは現代っ子なので、電気毛布につつまれて じんわりとくる温もりにとけだしそうになり、よろこびをかみしめる。ハイカラである。


目だまが右にすこしうごき、ひだりにながれ、あたまも釣られてひかれれば、むっと香るつよいシャンプーの匂い。

それだけでもう、なんでもよくなるくらい幸せになった。

修学旅行の大浴場みたいな お風呂の概念と、その余情にうっとりと、息をついた。


きいちごとせっけんのような、

はたまた絡みついてはなれない魔女の香水のような

つよすぎる幻さえもみせるようなこの香りだって

全部夜のせいで


ごうごう

ぴた ぴた


鳴る機械音たちは

いつのまにかわたしを、大木に澄んだみずうみへとつれていっていた。