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自由人 Gutch15 の気まぐれライフ from 横浜

#0066『Dreamland』 Black Box

2020.02.06 20:30

ユーロビートからイタロ・ハウスへ。

 ブラック・ボックスはイタリアのダンスミュージック・ユニットです。メンバーは Daniele Davoli (producer)、Mirko Limoni (key) と Valerio Semplici (clarinet) の3人に、ヴォーカリストとしてフランス人のモデル Katrin Quinol を加えた編成。

 カトリン・クィノルはPVとライヴでは歌っている姿を見せていましたが、実際にレコーディングで歌っていたのは Martha Wash だったということが後から判明しました。

 また最初のヒット曲「ライド・オン・タイム」Loletta Holloway の過去のヒット「ラヴ・センセーション」からヴォーカルを拝借してサンプリングしたものだということも明らかにされ、法的にはずいぶん苦しい立場に置かれました。

 そんな彼らですが、そろそろ飽きられかけていたユーロビートに新しい風を吹かせる働きをしました。メロディの雰囲気はそのままにハウス・ミュージックを取り入れたイタロ・ハウスというジャンルが誕生したのです。


Side-A
  1 Everybody Everybody (1990 - 全米8位、全英16位)
  2 I Don't Know Anybody Else (1990 - 全英4位、1991 - 全米23位)

  3 Open Your Eyes (1991 - 全英48位)

  4 Fantasy/宇宙のファンタジー (1990 - 全英5位)


Side-B

  1 Dreamland

  2 Ride On Time (1989 - 全英1位)

  3 Hold On

  4 Ghost Box

  5 Strike It Up (1991 - 全米8位、全英16位)


 A-1 「エヴリバディ・エヴリバディ」はタイトルの連呼が印象的な曲。第3弾シングルでしたが、アメリカでは1990年の夏に初ヒットとなり、ビルボード・ホット100でトップ10入りを果たしました。ハウスらしい涼しげなキーボードのリフがイイですね。

 A-2 「アイ・ドント・ノウ・エニバディ・エルス」は第2弾シングル。この曲はアメリカでも2枚目のヒット・シングルになりました。これまたクールなキーボードが、ちょいとウェットなリフを奏でます。「カモン・カモン・カモン~」のところがとても強いフックになってますね。

 A-3 「オープン・ユア・アイズ」はややビートを落としたメランコリックな曲。イギリスではなんと第6弾シングルになって最高48位を記録。ソウルフルな味つけがされていて、懐かしい雰囲気も漂うディスコ・ナンバーです。

 A-4 「宇宙のファンタジー」はタイトルを見てお分かりのように Earth, Wind & Fire のカヴァーです。聴き慣れたイントロのメロディがエレクトリック・ピアノによって演奏されると、一瞬ドッキリしてから「ああ、そうか」という感じ。アレンジは原曲よりもシンプルで打ち込みベースのリフ重視ですよね。さすがにハウス・サウンドです。イギリスでは第4弾シングルとしてトップ5入りしました。

 B-1はタイトル・ナンバーの「ドリームランド」。海辺に打ち寄せる波の音から始まって、キーボードの音に加えてビートがフェイド・イン。そのまま穏やかな空気感を保って2分ほどでコーダ。B面全体のイントロに当たる存在なのかもしれません。

 B-2 「ライド・オン・タイム」は物議を醸したデビューシングル。ロリータ・ハロウェイのヴォーカルを無断で拝借してサンプリングしてしまったために、後からかなりの追徴ロイヤルティを払わざるを得なくなったという曰く付きの曲。元の曲では歌詞は「Right On Time」だった(!)そうなので、タイトルも勘違いなんですね。

 後発のCDには、この曰く付きヴァージョンではなくあとからヴォーカルを録り直したヴァージョンが収録されているそうです。そう考えると、このイタリア盤LPレコードは貴重だ!

 B-3 「ホールド・オン」はシャウトするヴォーカルが小気味よいナンバー。ビートもタイトでキレがあります。第7弾シングルになりましたが、さすがにチャート・インせず(^^;)

 B-4 「ゴースト・ボックス」Rudy Trevisi のサックスがメイン・メロディを演奏するインスト曲。メロウなスローバラードです。サックスから主役を引き継ぐピアノが本当にクールだな、と思っているとセカンド・コーラスで再びサックスが登場。以下サックスとピアノの競演に展開していきます。ダンスビート揃いの楽曲に混じって新鮮なアクセントになっています。

 ラストを飾る「ストライク・イット・アップ」でダンスビートに戻ります。この曲のコード進行は緊迫感があってイイですね~🎵 私の「哀愁ツボ」にぐいぐいとハマってきますよ。ビートのスピードもちょうど良い具合です。サビの強烈なフックが効いたのかシングルとしても大ヒット。アメリカでは3曲目のヒットとなりビルボード・ホット100で最高第8位を記録。イギリスでも5枚目のシングルとして16位まで上がりました。





 写真は1990年リリースのイタリア盤LPです。先に書いた事情により後のCDでは聴くことができない "オリジナルの"「ライド・オン・タイム」が入っています。

 イタリア発ゆえに「イタロ・ハウス」と命名されたサウンドは他のヨーロッパ諸国にも飛び火し、ドイツやベルギーからも「イタロ・ハウス」が登場するなど国境を超えたブームとなりました。

 今では懐かしさが先に立ちますが、彼らの流行に対する嗅覚にあらためて驚きを感じる1枚でもあります。