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なるの台本置き場

【男1:女1】秋のような、冬のような(兄妹版)

2019.11.01 13:00

男1: 女1/時間目安10分



【題名】

秋のような、冬のような


※こちらは兄妹版です。



【登場人物】



(以下をコピーしてお使い下さい)


『秋のような、冬のような』(兄妹版)

作者:なる

https://nalnovelscript.amebaownd.com/posts/7725754

兄:

妹:




-------- ✽ --------






001 兄:うわぁ、外も寒くなったなぁ。もう少しなにか羽織って来ればよかった……それにしても……ここからの景色はいつ来ても変わらないなぁ。


002 妹:(小声)うわぁ、さむっ。……ふふ、こんなところでなーにしてるの?


003 兄:あぁ、お前か。いや、眠れないから少し風に当たろうと思ってな。


004 妹:そんな事だろうと思った。……ほら、そんな薄着じゃ寒いでしょ?この毛布使って?


005 兄:用意がいいなぁ、あはは。俺は大丈夫だから、お前が使いな。


006 妹:まあ私だからね!私は大丈夫だから、ほーら、はい。


007 兄:はぁ……さっき、寒いって言ったの聞こえた。ほら、毛布使いな。風邪ひくぞ。


008 妹:あ!そうだ!じゃあ、この毛布は兄さんが使って。で、私をその毛布の中に入れて?


009 兄:ん?……こ、こうか?


010 妹:そうそう!これなら私も兄さんもお互いの体温で暖かいでしょ?


011 兄:ん?...…まぁ確かに……それにしても近い……。


012 妹:えー?いいじゃん!暖かいんだし、兄妹ならこのくらい普通でしょ?


013 兄:お前の言う普通は普通じゃないぞ?


014 妹:私には普通だからいいんです。……それにしても、ここからの景色は相変わらず綺麗だなぁ……。


015 兄:ふふふ。


016 妹:何笑ってるの?


017 兄:さっきの俺と同じ事言ってるなぁって。


018 妹:この時間のここからの景色は私と兄さんしか知らない秘密だからね。久しぶりに来たし、同じ事言っても仕方ないじゃん。むー。


019 兄:はいはい、ムスッとしない。なぁ、あそこのお菓子屋さん。覚えてる?


020 妹:うん、兄さんの大好きなクッキー売ってるお店でしょ?


021 兄:そうそう、あそこ、この前行ったんだけど……。


022 妹:え!?私置いて行ったの?!酷くない!ねぇ!?


023 兄:はいはい、怒らない怒らない。今度連れてってやるから。


024 妹:絶対だからね!


025 兄:はいはい。でな、あそこのお店の奥さん引退してて、今娘さんに変わってたよ。


026 妹:え、娘さんってあの赤ちゃんだった?


027 兄:そうそう、いやぁ、べっぴんさんになってたよ。


028 妹:ふーん、そう。


029 兄:なーに不貞腐れてるの?


030 妹:別に〜?(小声)ニヤニヤしちゃって


031 兄:そうか?……あぁ、そうそう。あとな、あそこの夜景が綺麗な教会。


032 妹:前に父様と母様に内緒で行ったところ?


033 兄:そうそう、そのあとバレてこっぴどく怒られたあの場所。


034 妹:ふふ、懐かしいね。


035 兄:だね…あそこのピンクの花の木、無くなっちゃったんだよ。


036 妹:え?……そうなの?好きだったのに……。


037 兄:残念だよな。毎年あそこの下でピクニックしてたもんね。楽しかったなぁ。


038 妹:あれは楽しかったなぁ……それにしても、兄さんは私の知らないこの街のその後をたくさん知ってるんだね。


039 兄:……どうかしたのか?


040 妹:ふふ、何もないよ。


041 兄:さっきから様子が変だけど……。


042 妹:そんな事ないよ!ねぇ兄さん、この星空はあの時からずっと……ずっと変わらないよね?


043 兄:え?う、うん。星空はいつみても変わらず綺麗だよ。


044 妹:ふふ、そうだね。他には?他に変わったところはないの?


045 兄:えーっと……あ、そうだ。お前、そろそろ学校始まるだろ?この休み明けからだったよな?


046 妹:え?……あっ、うん。


047 兄:あそこも改築工事が始まって綺麗になってたぞ。しっかし変な時期から始まるよな。


048 妹:そう……だね。


049 兄:ん?どうした?


050 妹:いや、なんでもないよ。今度通う学校は寮になるし、ルームメイトとか楽しみなことは色々あるなって。


051 兄:そっか、忘れてたけどお前も寮にはいるんだよな。


052 妹:そうだよー?だからこうやって寂しーくテラスで黄昏てる兄さんを構ってあげられなくなっちゃう……寂しい?


053 兄:別に……いつもお前が勝手に来るだけだろ?


054 妹:まーたそういうこと言うんだから。……兄さんのバカ。


055 兄:んー?


056 妹:ちょ、ちょっと。そんな抱きしめてきてどうしたの?寒いの?


057 兄:んー……うん。寒い。心も体も寒くて仕方ない。


058 妹:寒いならそろそろお部屋戻った方がいいんじゃ……?


059 兄:んー、まだ。もう少しこの景色を見てたい。


060 妹:兄さんがいうなら付き合うけど……あ!みて!あれ、木に電気が灯ってる!……なんかイルミネーションみたいね。


061 兄:でもまだ葉も落ちきってないし……秋なのか冬なのかよく分からないな。


062 妹:寒いけど、街はまだなんとなく黄色?赤?んー、オレンジ?だったりするから、まだ秋!


063 兄:ふふ、何その自論。


064 妹:いいじゃん!……冬が来るのはもう少し後で。


065 兄:そうだな。このままずっと冬が来なければいいのに。


066 妹:クリスマス来なくなっちゃうから、ずっと来ないのは嫌だよ。


067 兄:確かに、お前クリスマス大好きだもんな。今年のプレゼントは何が欲しい?


068 妹:んー……今思いつかないから、また思いついたらでもいい?


069 兄:うん、思いついたらいつもみたいにこっそり教えてな。


070 妹:ふふ、わかった。


071 兄:……なぁ。


072 妹:ん?なーに?


073 兄:これからも……この景色はふたりの秘密、だからな。



(終)