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Roux's T Room

曖昧な数字から漏れ出るもの

2020.02.09 05:00



Ballade NO.1  2020




厳然とその存在を示したのは


彼が

そして皆が思い描く


" 羽生結弦 " 






ただただ素晴らしいとしか言いようのない

崇高な世界が


待っていた時間全てに

途切れることなく繰り広げられた。





そしてのちに

彼の心が少しだけでも休まった事を知り、


やはり少しだけ

私は胸を撫で下ろしたのだった。









ー 点数などどうでもいい ー



正攻法では立ち行かない現実に、腹を据えたのだと感じる彼が得たものは

皮肉にも思える高めの結果。




そしてそこには

歓声がコンマ何秒か遅れるような曖昧な空気が含まれていた。




しばらく待たされたジャッジミーティングでどのような言葉が交わされたのか。


微妙な数字の間から、" 邪推されても結構 " と一部の薄ら笑いが透けて見えるようだ。





僅かに眉根を寄せるブライアン。



わかっていたとでも言いたげに

自分を納得させるかのように

何度も頷く羽生さん。





微妙。

曖昧。



このニュアンスに含まれる闇の深さはいかほどか。





公平に受け止めようと俯瞰しても実質に見合わないこの点数は

万人を惹き付ける研ぎ澄まされた演技から乖離し

澱のように漂っている。




社会とは。


人間とは。




その在り方への問いを投げ付けたい。









ある程度自分も腹を据えたが

綴りたい衝動に駆られ、

描く事に戻れず


立ち止まっている。