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HEAVENLY TWINS

2020.02.10 07:54

prologue




 赤むらさきの空に、おおきなつみきが流れている。この国のBGMは、いつだって小さな星のかすれる音がしていた。


 走馬灯のようにすぎ去る おそろしくねじ曲がったピエロの面や、うすくすりきった透明なゼリーの帯がひらりと舞うのをみて、まるで夢みたいだと思う。夢のような世界なのに、ここはひどくしずかだ。

なにかおそろしいものたちが全員なかよくピッタリと、息をひそめているような清潔さがしていた。


 少女は 長いまばたきをする

「でも、わたしはすきだよ」


なまぬるく 永遠に低くなりつづける病院のオルゴールみたいなここが

すべてがうすもものベールにつつまれて、コントラストをひどく下げたようなこの国が。


 となりの少女はゆらりと目をそらす


ここは、大人になるとみんないなくなる。

かろやかにほほえむ水際のような人も、

さよならをいうまえのはにかみのような人だって、みんないなくなってしまった。


むき出しの心臓を守るように、少女は額縁の中の女をなでる。

ふるえる手は、たしかに恍惚として

そのままふたりで、手をあわせた。


おとなになると きっと天上へゆくのだわ

「それって、しぬのと同じよ」