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東京寫眞帖

明治神宮・北池のあたりと御苑

2020.02.10 14:47

社務所が開くまでの時間で、北池まで散策。

手持ちの地図だと北池の西側に延びる、にょろりとしたしっぽのような細い流れがあるのだけれど、実際に行ってみるとそのあたりはうっすら窪地なだけで、水は流れていなかった。涸れ川みたいなものかな… 雨が降るとここにも流れができるのだろう。

写真に撮るとなんだかわからないけど、手前の石から向こうの石のあたり、さらに奥の木立の向こうまで浅く窪んでいて、川なんだなとわかる。途中には小さな板で橋も渡してあった。

ところどころ霜柱が顔を覗かせる涸れ川をたどり、北池のほとりまで。

岸辺には薄氷が張っていた。

北池のほとりの亀石。

なにやらパワースポットということで、触ると暖かいエネルギーを感じる人もいるらしい。

どれどれ… と失礼して撫でさせてもらう。

鈍感な自分にはエネルギーとやらは分からなかったけれど、つるりとした石の撫で心地を味わう。

池にかかる橋を渡って拝殿のほうへ戻る。

人っ子ひとり歩いていない道。

木立でがさがさ音がして、振り返ると鳩だか雉子だかが枯れ葉に頭を突っ込んでは何かひっくり返している。

そうか、林の中ではこういう物音がするものなのか。

拝殿前に戻ると9時過ぎで、境内にはすでにたくさんの人がいた。お守り売場も人だかり。

もういちどお参りしていこうと思い手を合わせていると、本殿からなにやら歌声が。

顔を上げると、神職のかたたちが神前に居並び歌っている。祝詞というには西洋音楽のような感じのするそのお祈りを、すこし横に下がって終わりまで聞いた。いいところに来合わせたなあ。


大御心(おみくじ)も引いたしお守りも買ったし、十分堪能したので、さて帰るかと思ったのだけれど。

せっかくだし御苑も見て行こうかな、と寄り道。

隔雲亭。

明治天皇が皇后のために建てたという、こじんまりした建物は日当たり抜群。あの縁側で日向ぼっこしたらさぞ気持ちいいだろうなあ。

隔雲亭前の斜面を下り、南池のほとりでしばしぼんやり。

御苑のはずれに例の清正井があるのだけれど、さてどうしよう… 

迷いつつ、遠くにあずまやの見える小道をたどる。

と。

あずまやの下は菖蒲田が広がっていて、花の時期でない今は茶色い地面をさらしていた。

これ、千葉の郊外でよく見る谷津田に似ている。里山の合間の谷地に細長く伸びた水田。

なつかしい風景にこんなところで出会うとは。


清正井に行くのをためらったのは、パワースポット騒ぎの反動でいろんなネガティブ情報がネットに出ていたせいなのだが、よくよく考えたら自分はそういう方面は鈍感なのだった。

それにまだ午前中。

晴れた日の午前中なら悪い影響はないらしいし、行くだけ行ってみよう。


清正井は、菖蒲田の沢の奥、いかにも水の湧き出しそうな谷頭にあった。

何人かの人が並んでいる。

ブームの時は整理券も配られるくらいここに人が押し寄せたと言うけれど、いまはひっそりとしていた。

私の前に並んでいた人が、清正井の前に佇んで一礼した。

ああ、そういうのが正しいのかもしれない。

自分の欲望ばかりぶつけないで、相手のことも重んじる。人も物も自然も同じことだ。

自分の順番が来て、ちょっと遠慮しつつパチリ。澄んだきれいな水だった。

流れ出した水はやがて菖蒲田を潤し、南池となり、やがてまた細い谷川となって原宿駅のほうへと流れていく。

日差しの道を御苑の出口に向かった。

遠足の帰り道のような、ふわふわと明るい気分だった。