インディオの使徒12-先住民永久奴隷化に反対
2020.02.13 01:55
皇帝カールは晩年の修道院で「新大陸に行き、先住民への罪を悔い、損害を賠償したい」と言ったそうだ。しかし後と継いだフェリペ2世は、父のつくった莫大な借金の返済で必死だった。1557年のデフォルトでは、債務を年5%の債券に切り替え、現在のアメリカのように元本返済を事実上止めた。
この財政危機にアピールしたのが、ペルーの入植者達である。彼らは現在2代までが期限の先住民奴隷の永久所有を訴え、その代金として760万ペソの献金を約束したのである。国王はこれに乗り気になり、調査委員会がつくられた。実際は永久所有どころか先住民はどんどん死に絶えていたのだが。
もちろん払下げに反対したのはラス・カサスら、新大陸の聖職者達だった。ラス・カサスはスペインに居り、59年にはペルーの先住民の族長達の全権代表となった。彼は、スペインの借金に先住民はかかわっていないと述べ、先住民に自治を返せば、その代わりに献金する、と述べる。
ラス・カサスは以前よりも王室に鋭く迫るようになる。もはや王権を擁護せず、むしろ王フェリペ2世を批判するようになっていく。結局ラス・カサスらの運動の成果もあり、払下げはうやむやになった。だが、ラス・カサスは、スペインは凋落すると予感するようになる。
下はペルーの先住民の祭に招待された教皇フランシスコ