佐賀 鳥栖・jazz corner コルトレーンコルトレーン ③20/02
鳥栖の老舗ジャズ喫茶 jazz corner コルトレーン・コルトレーンさんのトレードマークと言えば、鳥栖駅側にあるこの目立つ建物ですが、このお店が2店舗目ということはご存知でしたでしょうか?
最初の店舗はこの写真の築80年のかわいい小さな倉で、ママが一人で切り盛りされておられたのだそうです。
とても使い勝手のいいお店で音も今より良かった、すごく気に入っていたのに、道路拡張工事のために取り壊されたのが残念とはママのお言葉ですが、これが1983年~1990年のこと。
またひいおじいさんが経営しておられた原総合卸問屋のお話や弟さんの直木賞作家 原尞さんのお話、不況になるとジャズ喫茶と有田焼等陶器のお店の経営が苦しくなる話等、これまで私にとってのこのお店は、マスターやママのこんな話をお聞きしながらゆるやかな時間を過ごすお店。
頻度的にもいつも間が空いてしまうこともあり、マスターも話し始めるとあぁ、君かぁ、と思い出していただける程度の関係しか構築出来ておりませんでした。
ただ今年に入り、プロジェクト・リ!トレーンを思い立った時から話が変わりました。
何せこのマスターは、コルトレーンに惚れてお店を始められた方。
そして、北九州"ご無沙汰"ツアーの締め括りのお店としてようやく訪問出来ましたが、今回強烈に印象づけられたのは、このマスターの粋さ、カッコ良さ。
この時にかけられたトランジッションというアルバムはコルトレーンの中でもその理解し難さから、通常お店ではそれほどかかることのないアルバム。【その経緯等はこちらの記事をご覧ください】
入店し、流れているのがマイ・フェイバリット・シングスのライブ盤と気づいた時の私の気合いの入った顔を見て、このアルバムを選んだとマスターはあっさりおっしゃいましたが、ジャズ喫茶のマスターとはかくありたいもの、と惚れ惚れしてしまいました。
ただ、入店直後に聴かされたマイ・フェイバリット・シングスのライブ盤、トランジッションという凄演二連発にもうお腹いっぱい、もうこれ以上集中して聴けないとほとんど涙目の私。
この後、どうなることかと冷めつつある珈琲を飲みながら思っていたのですが、ここからのマスターがまたニクかった!
コルトレーンの過激な演奏により上がり過ぎた気圧?をまず下げたYEAH.
その後に続けられたのは、ジミー・スミスの洒脱なオルガンとミルト・ジャクソンの心地良いヴィブラフォン。
ステーキばかりじゃない有り難さ。笑
これなら別腹なので、大丈夫!と心から感謝しながら、ゆったりと時間を過ごさせていただきました。
資料がきれいに整備されてあり、こんな古い書籍等が読めるのも、このお店の嬉しいところ。
今回はこのジャズ批評を読み耽ってしまいましたが、1980年代にコルトレーンがどのように評価されていたのかがよくわかる貴重な資料で、そのあまりの熱さ・面白さに後日購入してしまいました。
老舗ジャズ喫茶の奥深さを垣間見、また、満喫させていただいた今回の訪問。
締め括りはこの貼り紙。
このお店もあと5年?8年?二人で一人前のマスター、ママ、揃ってのことで、どちらかが欠けてもそこまで。
現在78歳のマスターと77歳のママ。以前マスターがおっしゃった名言「ジャズ喫茶は一代限り」のとおり、このお店のフィナーレを見据えてのお言葉。
最近粘りがなくなったから早々に閉めることが多くなった、でも、多少遅くなっても電話さえもらったら開けておくからと優しくおっしゃっていただき、これからはちゃんと早く入ろう思った次第。
コルトレーンなら全部揃えてあるからともおっしゃっていただいたことも含め、プロジェクト・リ!トレーンを進める上でこのお店はやはり外せません。
気合を入れ直して通いますので、引き続き、よろしくお願いいたします。
【駐車場:有、喫煙:可】
【追記】トランジッションが始まった時の客は私だけだったのですが、その後すぐに私より若いと思われるお客さんが入店。。。この方が帰り際、マスターとお話されているのを聞いていると、何と熊本・菊池の方でジャズ喫茶巡りの一環でいらっしゃったのだとか。こんな方もいらっしゃるんだと嬉しい気分にさせていただきました。
またマスターからリバーサイドさん、古処さんが閉店され、エル・エヴァンスやファンクールのマスターが亡くなり寂しいというお話や「マッチはもう1度作りたいけど、高いからなぁ」という貴重なご発言を引き出されていたことも合わせて、どうもありがとうございました。
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