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江田集落の暮らし

お米づくりが始まる前に。

2016.05.03 14:32

待ちに待ったこの季節。


毎週末、田んぼに出かけるのが

楽しみで仕方ありません。


4月の上旬、菜の花が終わり

江田集落でも一斉に田起こしが始まりました。


僕らも田起こしからはじまり、水路清掃まで終了。


残すは、畦波を変えて

田んぼに水引いて

代掻きして…

あれ、まだ結構作業がある(笑)


毎年着実に出来る事が増えて

自分たちの生活範囲内で許容できることに

喜びを感じています。


まだ、苗立てだけ師匠にお願いしているので

来年は、自分たちで行ないたいです。


思えば2012年5月

新しい生き方を模索しに神山町へ移住し

ひょんなことから、江田集落のお米づくりに参加。


あれよあれよで早4回目の春を迎えました。


最初の3年間は見よう見まねで

師匠や担当者の背中を追うばかり。


本当になにもできませんでした(笑)

ただ、自然の”変化”だけは常に意識して田んぼに向かっていた気がします。


去年までは、師匠にお願いしていた苗をつかって

イベント催して、田植え体験!や収穫体験!

なんて楽しみながらお米づくりをさせてもらいました。


これはこれで、楽しみの一つ!


ですが、どこか違和感を感じていました。


不謹慎ですが、師匠がいなくなったら

誰がこの工程を行なえるのか。


楽しんで暮らす以上に

現実的な”時間”の問題を直視した際、

とても怖い思いをしたのを覚えています。


師匠の技術、考え、長年の勘を少しずつ

受け継いでいかなくては…


今年から担当を任せてもらい

イベントをするだけでなく、

1年通して江田集落という場所で

お米づくりや暮らしを一緒になって考えれる時間を意識してみたいと思います。


ちなみに神山町のお米、食べたことありますか?

これがとても美味しいんです。


徳島って米所としては馴染みがありませんが

市町村単位で考えると、お米に適した環境は大いにある。


おいしいお米を作れるのだけれど…


神山町のお米の生産率は低く

高齢化が進み、後継者も不足している状況から

自給範囲で生産する農家さんが大半で町内にて購入できるポイントがありません。

※ご近所同士で、購入できるケースは有り(縁故米)

※お米づくりは採算性がない


そんな中、我々が昨年稲作したお米は、

町内の飲食店さんで使っていただく機会に恵まれ、多くの方に提供させてもらいました。


その反応が良く、顔や声が届く範囲でお米を提供することに大きな喜びを覚えてしまった。


”美味しいお米”を知っていただくことで

そのお米を作ってる環境(江田や大久保など)や人(住民のみなさん)

を考えてもらう一つのキッカケが生まれる。


そんな思いを込めつくられたお米を皆さんに食べてもらえたら…


”お米”を売るのではなく

お米づくりを通じた時間に焦点をあて

”農業”の本質を模索していきたい。


お茶碗に注がれるお米粒はどれだけあるか知ってますか。

それを栽培するのにどれだけの苗が必要でしょうか。

無農薬でつくるお米にはどんな苦労があるか。


植えること、収穫すること、白米になるまでにどんな手間をかけているか。

その中に、どれだけの人が関わり、楽しんで栽培しているか。


山間部での農業は平野部と比べ、条件が厳しいことが多いかもしれません。

水はキレイではあるけど、

圃場は一つ一つが小さく、草刈りなど労力も大変。


だからといって、農産物の価格は必ずしも高いわけでもなく、

農業という側面から見たら、経営や収益ではとてもかないません。


それでも江田集落でやっていきたいと思えるのは

「暮らし」という側面から見て、とても恵まれていることを教えてもらえたから。


その暮らしに、可能性を感じたからです。


鹿に荒らされようが、草刈り・草抜きや毎日の水路管理が大変でも

「自然の恵みの中で暮らしている」という実感はたまりません。


いくらお金を出しても買えないし、望んでもそう簡単に経験できない。

自分で経験しなければわからなくて、一度知ってしまうとやめられないものでもあります。


長くなりましたが

今年も江田に来てくれるみなさんと一緒になって、

楽しんでお米づくりしていきます!


––––––––––––––––

【昨年度の課題】


1.根腐れの原因

→未分解の藁による障害(有機ガスの発生)

 有機酸や二酸化酸素の発生を促し、稲の生育に好ましくない環境を生みだす。

●昨年度の生藁を圃場から全て出し、焼却する。


2.根の生育を促す圃場づくり

→田起こしの際、肥毒層を破壊する

※肥毒層は17cm〜23cm、耕耘は最低限の回数でおこなう

●近い将来、出穂期に25cmは根の成長を促したい。


3.抑草

→1回目は、「稲の活着が進んだら行う」※草が少ししか生えてなくても

※本代掻きの14日後を目安に行うと良い

→2回目以降は、「7〜10日を目安に土中への酸素供給や、有毒ガスの除去をイメージ」

→最終作業は、最低限の手取り除草をする

→泥をかき回す事で、光合成を抑制。雑草の生育が抑えられる。(前年度実証済み)

※ヒエや、クサムネなど、共生が難しい草のみ除去。コナギなど、稲が優位であれば特に必要ない。※コナギは、コンパニオンプランツ。


4.除草時期

→出穂40日前までに基本的な除草は終らせる

田植えから約60日を目安に「栄養成長期※9.5葉期」

この時期迄には、雑草に負けない稲づくりをおこなう


(神山町地域おこし協力隊 / 植田彰弘)