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ダンス評.com

中間アヤカ「フリーウェイ・ダンス」 KAAT神奈川芸術劇場 中スタジオ

2020.02.15 15:46

TPAMのダンス公演。NPO法人DANCE BOXのプログラム・ディレクター、横堀ふみ氏によるディレクション。他ではなかなか得られないすてきな鑑賞体験を味わえる作品。

上演時間はなんと4時間。ただ、開演から1時間半後に、1時間の「ごはんの時間」がある。単なる休憩時間なのかと思いきや、なんと(!)会場で食事が提供された。しかも、弁当ではなく、給食のように、その場でよそってくれるカレー。フィッシュカレーとベジタブルカレーから選べて(ハーフ&ハーフもあり)、ベジタリアンやいろいろな宗教に配慮している模様。

会場の中央に「庭」がしつらえられ(洋風の花や木と、石や鹿威しなど日本風を組み合わせた感じ)、会場の隅には、ドリンクコーナー、ブランコ、ガチャガチャ、ゲーム、本棚などもある。観客は、床に座ったり寝転んだりして、好きな場所で見る。入退場自由。

入り口には、プチ迷路のようなものがしつらえてあり、視界が開けると、庭までの道に足を踏み入れているという趣向。

クロークコーナーでコートや荷物を預けられる。

会場全体が遊び心いっぱいで、いるだけで楽しくなる。

ダンサーの中間アヤカ氏は、「部屋」コーナーで着替えたり、マイクを装着して観客に語り掛けたりしながら、踊る。脱いだばかりの服を洗濯(手洗い)までする!

洗濯のための水をたらいに入れるのに、透明なパイプにやかんから水を流す。それを「川を流す」(だったか?)と言い、パイプを持つ数人を観客から募った。

また、「左利きの人のためのダンス」を観客に教えたりもする。

音楽は英語の古い歌、日本の歌謡曲、歌のない曲など。

振付は、奇抜なところはなく、日常の動作に近いところから発想していそうな動きや、リズムに乗った動き、執拗に繰り返す動きなど。しかし、特に近くで中間氏を見ると、均整の取れたよくトレーニングされた体で、動きにもすごく注力していることが分かる。ゆるっと踊り始めるように見えるのに、踊りへの集中度が高く、キレも良く、引き付けられる。

同じように会場を動き回って鑑賞するスタイルの公演として最近見たのはハラサオリ氏らによる「no room」だが、趣はだいぶ違う。「no room」は知的な印象が強かったが、「フリーウェイ・ダンス」はもっと身体的で、リラックスできて、居心地が良かった。

今回の作品の振付から受けた印象は、作品の作られ方、ダンサーでない人から受け取ったものを踊りにした、ということとおそらく関わっているのだろう。

鑑賞し始めてから、以前、チラシを見て行きたかったけど遠方(神戸)だから見られなかった作品だと気付いた。今回の横浜公演は、直前に知って気になって行けて本当に良かった。

こういうダンス体験をもっともっとしたい。好きな姿勢で見て、踊っても寝てもいいのって最高です。

千秋楽は、「庭」の花を、希望者には持って帰らせてくれた。


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2.14 Fri 17:30

2.15 Sat 11:00 / 17:30

上演時間 240分(入退場自由、開演90分後に「ごはんの時間」60分あり)


オーディエンス 前売・当日¥3,500

プロフェッショナル ¥1,500


日本語・英語


ダンス:中間アヤカ

ドラマトゥルク:藤澤智徳

記憶(振付)の提供:阿児つばさ、加納千尋、中間公明、藤澤智徳、増田匡、他

セノグラフィ:阿雲モナイ、田添幹雄

フード:AM-A-LAB

舞台監督:大田和司

照明:三浦あさ子、須賀谷沙木子

音響:西川文章

ロボ製作:ファン・チョン・クォン

ドラマトゥルク補佐:藤澤太朗

ゲーム製作:深沢豊

ポスター製作:みうろ(Tetarame)

制作:NPO法人DANCE BOX(横堀ふみ、文、田中幸恵、新家綾)

スペシャルサンクス:阿部海太、中間家、肌野南海子、藤澤家、WAGOMU Climbing Gym、武井琴、豊川弘恵、犀の角、松田峰卓、他

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