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【おすすめの本】津久井進さんの「災害ケースマネジメント◎ガイドブック(合同出版)」

2020.02.16 01:57

長年にわたり被災者支援に尽力され、「大災害と法(岩波新書)」などの名著もある弁護士の津久井進さんが、このほど「災害ケースマネジメント◎ガイドブック」を著されました。

「災害ケースマネジメント」とは、「被災者一人ひとりに必要な支援を行うため、被災者に寄り添い、その個別の被災状況・生活状況などを把握し、それに合わせてさまざまな支援策を組み合わせた計画を立てて、連携して支援する仕組み(本文より)」のこと。こうした仕組みは、鳥取県をはじめ、いくつかの地域ですでに走り出してはいます。ですが国により制度化され、より多くの自治体で活用され、多くの方への適切な支援が実現されることを目指し、書籍で一石を投じられているのです。

前半では、被災地で何が起きているのか、支援制度の何が問題なのか、実際の事例を基にした制度解説や問題提起がなされています。とても分かりやすく、現在ある支援制度等の歴史的な流れもよく理解できます。後半は、災害ケースマネジメントについて詳細な解説が展開されています。生活再建に一人一人異なる課題を抱えている被災者の方を支えるには、あらゆる社会資源を総動員し、さまざまな専門家が連携しつつ関わることが不可欠です。弁護士をはじめ、司法書士、行政書士、社会保険労務士、税理士、不動産鑑定士、宅建業者、そしてファインナンシャルプランナーなどなど。あらゆる人が支援者足りえるのです。

時に、現実にあるさまざまな理不尽に怒りつつ、一気に読み進めました。支援者向けのガイドブックという体裁ではありますが、誰もが被災者にも支援者にもなり得るなか、どなたにでもお勧めできる本です。また、拙著「どんな災害でもお金とくらしを守る」「地震保険はこうして決めなさい」共著「災害時絶対に知っておくべきお金と保険の知識」を、文献リストに入れていただき、事前対策としての保険での備えについても詳細に取り上げていただけたことにも感謝です。

あとがきのなかで深く共感した一文を。

「…令和時代は幕が開けたばかりだが、時代の変わり目と無関係に、大災害は次々に襲ってくる。明日の自分が、人々と同じ境遇となる可能性は高いのだ。一人ひとりが大事にされる社会を実現することは、「かわいそうな人を助けたい」という同情心に由来する恩恵などではなく、誰もが自分ごととして考えなければならない「リスク対策」であり、社会全体の共通課題である…(あとがきにかえて)」

津久井先生、ほんとうに素晴らしい御本でした。ありがとうございます。