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SORNANCEの菌類観察記

2/15 「毒きのこ!」の話

2020.02.16 13:48

2/15 川崎の科学館で開催された毒きのこのシンポジウムに参加したので備忘録。


1. 毒きのこを活用した創薬プロジェクト

立命館大学の井之上先生のお話。こちらは専門的なお話というよりは、「研究者が資金をどう集めるか?」というところがメインでした。

井之上先生はクラウドファンディングでお金を集めて、上記のプロジェクトを進めてるとのこと。

クラウドファンディングは研究者も賛同が使命感になるし、支援者にも成果が見えやすいという点が特徴とお話されていました。

「わかる人にわかればいい!」のスタンスで、ニッチなファンから支援を受けて研究するから、「コスパがいい研究」以外も挑戦できるという利点を挙げられていました。


売れないけど、「この絵めっちゃ好き!」「この画家さんを応援したい!」みたいな感じかな…。

クラウドファンディングがもっと研究界隈で広がって、直接支援してくれる人が増えれば日本の科学業界も変わるのかな…。

(D進しても就職先もお金も保証されないこんな世の中じゃ…ポイズン…)


2. 毒きのこ成分について

東京農業大学の橋本先生のお話。

きのこ毒の話を網羅的を聞けて大変勉強になりました。

個人的に面白かった話を抜粋。


•カエンタケの毒

サトラトキシンというカビ毒がメイン。毒が末梢血管をつまらせるので、手足が腫れ髪が抜ける。(かなり症状は酷い…)

触ってもかぶれると噂だが、子実体を潰して液を出さなければ大事には至らない。

ナメクジやカマドウマはカエンタケを食べるらしい…。


•ニセクロハツの毒

シクロプロペンカルボン酸が横紋筋分解を起こして、致命的な中毒を起こす。2〜3本で致死量。シクロプロペンカルボン酸は濃度が高くなると重合してしまうため、今まで成分同定、定量が難しかった。ニセクロハツは種同定難しく、形態が結構似てる別種で毒が含まれていなかったり…。アブラジイと共生するものが本物のニセクロハツ?。


•ヒトヨタケ、ホテイシメジの悪酔い

アルコールデヒドロゲナーゼ阻害で、ホルムアルデヒドが蓄積することが原因


•スギヒラタケ中毒には3つ説がある

a. 毒成分が複合的に働いた?

b. 食べた人が元から腎臓が悪かった?

c. 成長でできる青酸が原因?


•キシメジ毒きのこ問題

キシメジが毒きのこかどうかという議論が欧州で勃発。結構、中毒者が出ているらしい。

ただ、マウス中毒試験の結果で差が出たりで、本当に毒きのこかわからないのが現状。

橋本先生はカラキシメジがもつ成分が原因なのでは?と予想。

シモコシとキシメジは齧っても問題ないが、カラキシメジを齧ると口の中が破壊されて荒れる→毒成分?。

カラキシメジには、水溶性の苦味成分があり、これは雨が降ると流される(ネズミシメジにもある)。


キシメジ問題は個人的にはDNAマーカーで種同定(種に落とし込めないなら遺伝子型)して、毒成分を持つか系統地理的に分析するのが良いと思った。何かしらのパターンがあるだろうし、種や配列、特徴が絞れればキシメジ系の食中毒も未然に防げたり…。

(面白そうな研究と思ってるだけでもある。クラウドファンディングでやりたいな…笑!)


以上、備忘録でした。