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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

黒王妃の戦争5-ヴァシーの虐殺

2020.02.18 11:14

黒王妃カトリーヌの努力にもかかわらず、1562年3月1日ヴァシーの虐殺事件が起きた。やったのはカトリック過激派のギーズ公。フランス北部ヴァシーで、新教徒達が納屋で礼拝していたところ、「城壁の外しか認められていない」と追い出そうとして、乱闘になり、百人を越える死傷者が出た。

またたく間に国内に火がつき、第一次ユグノー戦争が勃発、新教徒のコンデ公ルイ・ブルボンは、一月勅令は破棄されたと宣言して南部オルレアンに入城、北部ルーアンも新教派についた。しかしギーズ公を中心とする国王軍も反撃に転じ、ルーアンを激戦の後に奪回した。

新教派はイングランドを巻き込み、援助の見返りとしてカレーやルアーブルなどの領地を約束、英軍はルアーブルに侵攻する事態となった。しかしルーアン奪回後、国王シャルル9世の錦の御旗を得た旧教軍が有利となり、ついに新教側拠点オルレアンを包囲した。

このオルレアン包囲で、旧教リーダーのギーズ公が暗殺、総司令官ナヴァラ王も死にフリーハンドを得た黒王妃は、新教側と和平交渉を行い、アンボアーズ勅令でこの内戦を終結させた。取り残されたのは英軍で、新教派にも攻撃されて撤退。英王エリザベスは苦い教訓を得て二度とユグノーを信頼しなくなった。

下はヴァシーの虐殺