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㊸産声のない出産

2020.02.21 04:11

O先生は、


淡々と私の処置をしてくれました。



と言っても、


会陰切開もする事なく、


裂けることもなかったので、


残った胎盤を出すだけです。




お腹を押されて痛かったのを覚えています。



私…赤ちゃんに会ってない。



どして?! 



聞くのが怖いと思ったその瞬間、





オギャーと小さな声が聴こえました。





O先生

「泣いたね。」



「うん…


 良かった…」




涙が私の頬をつたいました。



これは、 


後から夫と助産師から聞いた話しですが、



双子弟は、産まれた時、失神していて、


息をしていなかったそうです。




O先生は、赤ちゃんを見て、


すぐ後ろにいた、


新生児科の男の先生に赤ちゃんを渡して、


その先生が中心となり、蘇生させました。



赤ちゃんを取り囲むように、


沢山の人が居て、


とても怖かったと…





もう失いたくない…



その想いは一緒でした。




その間約1分…






夫は、その様子を見ていて、 


途中、看護師に、


「旦那さんは見ないで下さい。」


と言われたときに、


死を覚悟したと言っていました。



知らない間に


私よりも怖い思いをさせてしまったなぁと。



胸が締めつけられるようでした。



そして、産まれたばかりなのに、



このピンチを乗り越えてくれた

強い赤ちゃん。



よく頑張ったね!



立派だね!!




新生児科の先生方には、



感謝の気持ちでいっぱいです。



O先生は、私の処置を手早く終えると、


何処かに行ってしまいました。





……





でも、直ぐに戻ってきました。




その手には、


赤ちゃんを抱いていました。




O先生

「赤ちゃん連れてきたよー。



 会いたかったでしょ!



 ほら、大丈夫だよ。」




私、夫

「頑張ったね!



 よくやったね!



 可愛いね、可愛いね!」




おててを触りお顔をすりすりしました。




O先生

「呼吸が苦しそうだから、


 もう連れて行くねー!」



「ありがとうございました。


 O先生、大好きです!」




なぜか、ありがとうよりも大好きという言葉が先行😁




O先生

「ありがとう…(笑)」




O先生が部屋を出て行きました。





そして、

O先生と入れ替わるように、


新生児科の男の先生が入ってきました。


自分たちが双子って


分かるのはいつなのかなー?



もう、何となく分かってるのかなー?