宮治淳一のコンピ大好き Vol. 8
私がこの5年、ジャパンオリジナルのCDコンピレーションとして監修、選曲してきたナゲッツ・シリーズの2020年最初のリリースが3月25日リリースの予定がされているが、この度ようやくその内容が確定した。これから発売に向けてその核となる収録曲を随時紹介していく。まずは『ATTACK – WARNER GIRL GROUP VOL. 8』から。
『アタック~ワーナー・ガール・グループ・ナゲッツ Vol.8』
Piccola Pupa「Break Away」
Written by Jackie DeShannon, Sharon Sheeley
Prod. by Gil Garfield
Arr. by Perry Botkin, Jr.
WARNER 5640, June 1965
夢がかなった。5年がかり、3度目の許諾申請が奏功しついにナゲッツに収録決定。今回の目玉。オフィシャルな形では世界初CD化となる。ピッコラ・ピューパ(Piccola Pupa)はイタリアで生まれ子役として活躍、イギリスを経て1963年に渡米、各種テレビ番組に出演その愛くるしい容姿とエネルギッシュなダンスで人気者になった。65年歌手業に進出。
ワーナー・ブラザーズから「Put Two Extra Candles On My Cake(ハワード・グリーンフィールド、トニ・ワイン、ヘレン・ミラー作)」でレコード・デビュー。今回収録の「Break Away」はそのカップリング曲。このはねるようなご機嫌なポップ・チューンを書いたのは西海岸の才媛コンビ、ジャッキー・デシャノンとシャロン・シーリー。ニューオーリンズの歌姫、アーマ・トーマスが1962年2月にリリースしたシングル盤「Wish Someone Would Care」のこれまたB面に収録されていたヴァージョンが初出。シブいソウル・バラードのA面は好評でポップ・チャートの17位まで上昇、今でもアーマ・トーマスの代表曲として知られてはいるが後年の人気はノン・チャートのB面曲に軍配が上がる。「Break Away」は82年イギリスのコメディアン兼歌手トレイシー・ウルマンによってカバーされ見事英米でヒットを記録した。そのことに気をよくしたのかトーマスは現在でもライヴでこのポップ・チューンを誇らしげに歌っている。残念ながらピッコラの場合はB面どころかA面もまったくかすらなかった。それでもペリー・ボトキン・ジュニアとギル・ガーフィールド制作によるティーン・ポップのクオリティは高く2020年の現代でも十分に鑑賞に値する。ピッコラは67年にはアルバムを発表するも売れず、俳優業に専念、現在は引退しイタリアに住んでいる。
きっとこの初CD化を喜んでくれるはず。
※ディーン・マーティンと
※イタリア盤シングル