イベント「医療系ボードゲームを作ろう」に参加しました。
2020年2月22日,23日に池袋で開催されたイベント「医療系ボードゲームを作ろう」に参加しました。
主催団体のSHIP(Shinjuku Healthcare Incubation Park)はヘルスケアをテーマに活動するコミュニティで、オンラインおよびオフラインで様々な活動を行なっています。このイベントは、医療関係者が日頃から感じている医療の課題を創作ボードゲームの形でアウトプットすることで、仕事のふりかえりと改善点の発見につなげるものです。
UXデザインでは顧客理解のための手法として顧客の現状をペルソナやカスタマージャーニーマップの形で表現しますが、創作ボードゲームの形での表現は斬新な試みであり、新しい気づきにつながるのではないかと考え、参加しました。
初日はゲームメカニクス(ゲームデザインにおける典型的なデザインパターン)の考え方と事例について説明を受けたのち、4つの班に分かれ、アイデア出しとゲーム企画の決定までを行いました。2日目は実際にゲームを試作し、他の班にテストプレイをしてもらって要改善点について指摘を受けるまでを体験しました。
ゲームメカニクスについての説明は30分程度でしたが、医療現場に詳しい参加者とボードゲームに詳しい参加者をそれぞれ各班に一人以上配置する配慮があり、各班とも所定時間までにゲームの試作を完成させることができした。
このイベントで出されたゲームのアイデアはパブリックドメインとする(そもそもアイデアは著作権法で保護されない)というイベント方針でしたので、各ゲームの概要をここに紹介します。
- しょーじいさんの1日ゲーム
- ダイヤモンドプリンス号ゲーム
- 絶望リフレインゲーム
- 芸術家は不器用だゲーム
しょーじいさんの1日ゲーム
地域包括ケアの関係者となってしょーじいさんの生活を支援するゲーム。些細なことでしょーじいさんの生活の質や運動能力は低下してしまうため、関係者全員の協力が必要である。意図的に傾聴と情報共有の機会が少なくデザインされており、プレイヤーはもどかしい思いをすることになる。
ダイヤモンドプリンス号ゲーム
医療チームとなって客船内で発生したウイルス性肺炎の蔓延を防ぐゲーム。ウイルス側プレイヤーは自分の行動を常に手元の行動記録帳に書き込み、医療チーム側プレイヤーには2手順前の行動だけが知らされる。医療チームはウイルスの行動を予測して捕獲しなければなければならないが、その一方で船内消毒作業も行わなければならない。
絶望リフレインゲーム
ストレスを抱えた現代人となって様々な救済行動でストレスを発散するゲーム。救済カードに書かれた数値の合計が、事前に配られたストレスカードの数値以上になれば勝利するが、ストレスカードは伏せられておりその数値はプレイヤーにはわからない。ストレスカードにはストレスボルケーノの論文をもとにしたストレス要因とストレス度合が描かれている。
芸術家は不器用だゲーム
身体障害者の持つハンデを体験するゲーム。親プレイヤーと子プレイヤーに分かれ、与えられたお題にそって子プレイヤーが一筆書きで画用紙に絵を描き、親プレイヤーが絵を見てお題を当てる。ただし子プレイヤーは「目が見えない」「指が動かない」「手が震える」等のハンデを小道具で再現した上で絵を描かなければならない。
実際にゲームを作ってわかったことは、ゲームは現実の反映であり、現実を詳しく知らなければ現実の反映であるゲームはデザインできないということです。参加者全員が自分の理解をアウトプットする場として、ゲーム制作イベントは優れていると感じました(森山)