「ウルスリのすず」アロイス・カリジェ
本日更新した中からの一冊、こちらはアロイス・カリジェの「ウルスリのすず」です。
ある山あいの小さな村で暮らす男の子、ウルスリのお話です。
まだ小さな子どもですけれど、お父さんを手伝って家の仕事を手伝う元気な男の子です。
明日に「鈴のお祭り」を控えたある日、ウルスリも他の子どもたちと一緒に、お祭りの日に子どもたちがそれぞれに鳴らす鈴が配られるところへ急いだのですが、ウルスリに配られたのは一番小さな鈴。
こんな小さな鈴でお祭りを迎えるなんて、とてもじゃないけれど出来ない、そう落ち込んだウルスリは、自分の家の山小屋の中に、大きな鈴が飾ってあったのを思い出したのでした…。
日本でも、スイスを代表する絵本作家としてとても良く知られているアロイス・カリジェの代表作なので、読んだことのある方も多いでしょうか。
お話も楽しく、お子さんから楽しめる素晴らしい絵本ですが、やはりもう大人の自分にはこのカリジェの絵の素晴らしさにやられてしまいます。
その線、構図、細かな描写と大胆な抽象化の調和。
すべてのページに、こんな風にも描けるんだ、と言う喜びと驚きに満ちています。
近い感覚を感じる絵本作家で言うとハンス・フィッシャーや、ルドウィッヒ・ベーメルマンスなどでしょうか?
ですがカリジェの絵には、いま名前を挙げた作家には無いものが確実にあります。細かな装飾などの民俗的なモチーフの入れ方が特に素晴らしいですね。この辺りはマティスなども感じさせますね。
ウルスリの暮らす家だったり、山小屋の中の描き方、鈴のベルトの装飾など、見ていてほんとうに楽しくて嬉しくなってきてしまいますよ。
絵本好きだけじゃなく、例えば刺繍作家さんなどにも面白く見て頂ける絵本かと思います。
現在当店にはこの日本語新版(2018年新装版)とドイツ語版の在庫がございます。
ぜひオンラインストアの方でもご覧ください。
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