確定申告制度とは?
今回は、誰でも接することのある身近な税金“所得税”の「確定申告制度」について、申告時の手続きや注意点をご紹介いたします。
Q1.確定申告制度とはどのような制度ですか?
A 「確定申告制度」とは、前年に収入(所得)のあった方が、その翌年の2月16日から3月15日までの間にその収入のあった方の住所などを所轄する税務署に、収入に対する所得税を計算、確定申告書を作成提出し、所得税を納める手続きのことをいいます。
Q2.私はサラリーマンなのですが、確定申告をする必要がありますか?
A 所得税は本来「申告納税制度」なので、個人自ら納税すべき税金です。しかし、定められた時期に一人一人が一斉に申告するとなると、税務署は膨大な事務量により処理しきれなくなってしまいます。そこでサラリーマンなどの給与所得者の確定申告については、勤務先である会社がいったん所得税を預かり、年末調整をすることにより、個人に代わって所得税を税務署に納めているのです。
Q3.私は、2か所で働いていますが、給与所得のみなので確定申告する必要ありませんよね?
A いいえ、2か所以上の複数の事業者から給与を得ている場合、確定申告をする必要があります。年末調整は原則として、扶養控除申告書を提出している事業所のみでしか行うことが出来ないため、複数の事業所から給与を得ている場合、その給与所得を合算して確定申告する必要があります。
Q4.今年、銀行で住宅ローンを組んでマイホームを購入しました。税金が戻ってくると聞いたのですが、どうすればいいのですか?
A 住宅ローン減税の適用要件を満たす住宅を購入し居住した場合、その適用を受けるためには、以下のような書類を添付した確定申告書を税務署に提出しなければなりません。
【主な書類】
・登記簿謄本
・住宅購入の契約書や建築の請負契約書写し
・住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書
なお、2年目以降については、税務署から送付される「給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書」を年末調整の際、勤務先に提出すれば確定申告する必要はありません。
Q5.3年前に銀行で住宅ローンを組んでマイホームを購入しましたが、住宅ローン減税を受けるための申告を忘れていました。いまから確定申告すれば3年分の税金が還ってきますか?
A あなたが、過去3年間において確定申告書を提出している方であれば、申告書を提出している年度については、確定申告書の提出期限より1年以内に限り、更正の請求書を税務署に提出することで税金が還ってきます。確定申告書を提出していない年度、または、提出していない方であれば、3年分の確定申告書(還付申告書)を提出することにより、所得税及び(又は)住民税が還ってきます(納付した所得税又は住民税がある場合)。これは、還付申告書がその年の翌年1月1日から5年間提出できることになっているからです。
Q6.今年の春ごろ、体調を崩し病院へ入院、手術をしました。支払いをした高額な医療費について確定申告すれば税金が戻ってくると聞きました。
A 所得税法では、健康保険の高額療養費制度とは別に医療費控除制度があります。この制度の適用を受けるには、サラリーマンなどの給与所得者であっても、確定申告が必要となります。その年の1月1日から12月31日までに実際に支払った医療費(請求日付ではなく領収日付)の領収証を確定申告書に添付して提出します。支払った医療費は、一人一人の合計額ではなく、どなたが負担したかにより判定し、医療費負担者の申告となります。
Q7.転勤で引っ越すことになり、自宅を売却しようと考えています。売却代金に税金はかかりますか?
A 土地や建物など自己所有の不動産を売却した場合、譲渡所得として所得税の対象となります。不動産の売却代金から、その不動産の購入費用(建物については減価償却費相当額控除後の金額)及び売却に係る費用を差し引いた残額が所得とみなされ、所得税の課税対象となります。居住用住宅を売却した場合の特例など、一定の要件を満たせば減税になる様々な優遇税制がありますが、適用要件が難しい場合もありますので、事前に税理士などの専門家にご相談されることをお薦めします。
Q8.税務署に確定申告しに行きたいのですが、平日はなかなか時間が取れません。どうすればいいですか?
A 税務署の窓口が確定申告期間中に限り、日曜日でも開庁している日が1日~2日あります。また、国税庁のホームページに確定申告書作成コーナーがあります。手順に従って申告書を作成、郵送で税務署に提出することが可能ですし、所定の手続きをすれば、e-Tax(電子申告)を利用して確定申告書を提出することもできます。納税方法は口座振替の手続きを取るか、最寄りの金融機関などでの納付が可能です。