近世の混沌3-近世の革命家、カルヴァン死す
2020.02.29 11:38
1564年5月27日、ルターと共に宗教改革の象徴となったジャン・カルヴァンが55歳で死去した。60年には彼の主著である「キリスト教要綱」が完成、4巻80章となり、カルヴァン派の「神学大全」として、大きな影響力を果たすことになる。
さらに彼は、ジュネーブを本拠として各地に宣教師を送り、彼らを通じて情報を得て、すぐ文章にして手紙を送り、指導をしていた。ここまでくればロシアを本拠に共産党インターナショナルをつくったレーニン並である。事実新聞もない当時は、説教はアジテーションの威力があったのである。
ルター派は聖人崇敬など旧教要素を残したが、カルヴァン派は徹底的に聖書のみの解釈を行って伝統と決別した。そういう意味では彼はルネサンスの文献学の子といえる。そして彼の後を継いだテオドール・ド・ベース以降今日に至るまで、聖書を解釈して、その通りの世界をつくろうという政治活動の出発点となった。
しかしカルヴァンは臨終にあたって、自分は多くの欠点を持っていて、自分のしたことは何の値打もなく、みじめな被造物だと言った。今日数多くの宗派ができているこの現実をどう思うだろうか。