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Fashion source: Daily Journal

「リスト・シェーンベルク・ベートーヴェン・スクリャービン」レクチャー&ピアノ演奏 by 富永峻さん

2020.02.29 14:59

 4/26 sunに白寿ホールにて行われる富永峻さんのピアノリサイタルに際し、当日演奏される作曲家について学べる少人数制レクチャーへ行って参りました。場所は広尾の富永さんのアトリエ「Mirethos」にて。

 1978年生のSteinwayが置いてあり、象牙なのだそうです。富永さん曰く、Steinwayは、いろいろな曲に万能なんだそうです。もし、バッハだけを弾くなら、Bösendorferを選ぶかもしれないし、YAMAHAは丈夫で壊れない、メンテナンスもかからない。車で言ったらトヨタ車のようなイメージなのかなと思いました。実際に富永さんの生徒さんが、そのピアノを弾いたときに、ツルツルの表面というよりも、マットな質感を感じたと言っていました。そんなピアノを間近に感じられる「匠」と名のつくイベント、13回目のようです。

 本日の富永さん。この会は、ケータリングつき!しかもフルコースで出てくるんです。サラダ・キッシュ・ポテト・ペンネ・ローストビーフの玄米リゾット・チョコレートムースを美味しく頂きました! ピアニストとチョコレートムースです。シャツの色もムース色。(笑)シェフはわかっていたのかな?

 さて、今回のレクチャーです。前回お伺いした時と同様、Naokoさんのわかりやすい解説から始まりました。いつもどおり、愛人が何人いたとか、子供が何人いたとか、どこの国に住んでいたのか? 性格、身長、趣味、周りの人との関係など、作曲家の技法以外の豆知識もいっぱい知ることができます。

 個人的には、リストと友達になりたいかな。(笑)あるピアニストが、リストから1回も教わったことがないのに、リストの弟子と、セールスアップのために宣伝したそうなのです。しかし、そのピアニストがリストに謝りに行ったときに、リストは「ピアノを弾いてごらんなさい」と言って、そのピアニストに弾かせ、「僕の前で弾いたから、もう君の言っていることは、嘘にならないよ」と、許してくれたようなのです?! でも、考えてみたら、「リスト」と書いたということは、それだけリストのことをエア師匠として尊敬しているからであって、リストは一瞬にしてそこをお見通しできる人だったんだなと、感動しました。そのうえ、身長も185㎝もあって、イケメン風ですから、モテるわけですね。私もエア師匠として見習いたいです。(笑)

 ベートヴェンが、耳が不自由だったのは、好物の魚の中に含まれている鉛が堆積したものではないかと。ベートヴェンの毛髪から通常の100倍近い鉛が検出されたそうです?! 

 富永さんが、ベートヴェンのトルコ行進曲を演奏してくれました。モーツアルトのトルコ行進曲のほうが、よく聴きますが改めて2つの違いを感じました。音楽って感覚の中に記憶として残っているから、聴くとすぐに思い出しますね。簡単になっているバージョンを子供の頃に弾いた気がしました。二人の偉大な作曲家がトルコ行進曲を作曲するとは、トルコは、チューリップ、コーヒー、カフェ文化発祥など、ヨーロッパに影響を与えていた国だったんですね。

 そして、へぇ!だったのが、ベートヴェンは、フリーランスで成功した人だったそうです。バッハやモーツアルトは、宮廷と教会とかに属していたそうなので。しかも独身ですから、自由人だったんでしょうね~。

 そして、金融系、画家でもあり、カンデンスキーと仲良しでもあった、ユダヤ人のシェーンベルク。この人、すごい発明家です。ドレミファソラシの白鍵と黒鍵であわせて12音階をすべて均等に組み合わせて作曲をした人なのです。どの音も分け隔てなく、同じように使って音を並べて曲を作るという、だから、情緒とか、メロディーとかがない、たんに音の組み合わせ。でもその音の組み合わせの中に、「バッハ」へのオマージュもいれるという、暗号のようなメッセージも音符に含んでいたりするのです。富永さんのYouTubeにシェーンベルクがあったので、お聴き下さい。

 どうですか? 訳が分からないでしょう。先月、たまたま東京都現代美術館の前で知らない男性から「このチケットどうせ捨ててしまうんで、差し上げます」と言われ、ミナペルホネン以外の近代美術展もついでに観ることになったのですが、そのときのわからなさといったら…。それを思い出しました。

 しかし、今回はレクチャーを受けているのもあって、興味深く聴くことができました。最後に質問タイムがあるのですが、毎日質問を生業としている者として、周りの手が上がらなかったので、質問をさせていただきました。

「他の作曲家の曲は、メロディーとかがあって、聴いたらそのメロディーを歌えるのですが、シェーンベルクの場合、思考されてつくられているようで、それが不可能だと思うんです。ピアニストの人は他の曲とは違う感じで弾いているのですか?」

 すると、富永さんは、数字を記憶するかのように弾いていると言っていました。なので、途中で止めると、弾けなくなっちゃうのだそうです。神経衰弱とかは得意だったと言っていましたね。一方、風景とかのイメージを記憶するのはそんなに得意じゃないそうです。ピアニストの脳って、本当に不思議ですね。

 初めてシェーンベルクに挑戦したのは、大学の研究のときで、個性的な曲として、シェーンベルクを弾いてみないかと言うことになったそうなのです。それで弾けたことで、自信もついたとおっしゃっていました。

 とはいっても、やはりクラシックに癒しを求めたいの逆であるような、目の覚めるようなシェーンベルクです。私としては、予想もつかない音の組み合わせというのは、結構面白いなと思いますし、その場の空気が一気にクリエイティブな空間になるような、心というよりも、場の浄化作用がある気がしました。脳に新しい刺激が欲しいときは、敢えて聴いてみたいなと思いました。白寿ホールでのシェーンベルクがかなり楽しみです!

 最後にスクリャービン。身長が153㎝しかなかったそうです。リストの曲を弾きすぎて、20代前半で、右手を故障してしまったとか。だから、左手だけの曲もあるようです。音から色が見えるという、色聴という感覚を持っているようですね。そして、神秘化学が好きだったスクリャービンは、神秘和音を生み出したそうです。独特の響きがもたらされ、文字通り神秘的な雰囲気をかもし出すのだとか、富永さんの弾くスクリャービンで確かめてみましょう。

確かに和音が美しい。とくに、シェーンベルクを聞いた後に聞くと余計に響く!(笑)

 4/26のプログラムも、12音技法の理系なシェーンベルクからになっている! 最初に、思考されて造られた音の塊でもって、聴く人の雑念を打ち砕いてくれそうですね。(笑)

 レクチャーと演奏のあとは、参加者のみなさんと美味しいケータリング&立ち話タイムとなりました。全く初めての方々ばかりですので、服の話から入りますよね。(笑)レーシーなピンク色のドレスを着ていらした女性がこちらにいらして、「フェイスブックのもしかしてお友達のところに、いつも出てきていたんですよ」と。ということで、正式にお友達になったり、そしてまた近くにいた女性と「富永さんとは、どんなつながりですか?」というお話から入り、「ライフコーチしているんですよ」と。ちょうどご相談があったようです。

 そして冒頭の富永さんの写真に戻るわけです。いつもレビューは時間がかかるのですが、2時間でブログを書くことができました。レクチャーがとても分かりやすかったからです。4/26白寿ホールの感想は、演奏の深みにはまり大変なことになりそうです。(笑)富永さん、ありがとうございました。また楽しみにしております♪