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NYのアマチュアナイトが人びとの心を揺さぶる理由。アメリカン・ドリームを実現する場所「アポロシアター」に行ってみて

2020.03.03 01:00

こんにちは。Crossoverの起業家支援プログラムに参加の木村薫子です。

「アメリカン・ドリーム」という言葉を聞いたことがある人は多いと思います。文字どおりこれは、アメリカ合衆国において均等に与えられる機会を活かし、勤勉と努力によって成功を手にすることを意味しています。


もともとアメリカは、黄金郷や豊富な地下資源がもたらす巨万の富を目当てに、多くの人々がヨーロッパをはじめ世界各地から移住し、形成された国です。

そのため、同時期に身分制度への反発からフランス革命が勃発したヨーロッパとは対照的に、身分が人びとにとって決定的な役割を果たすことが少なかったのです。


そんな歴史をもつ地だからこそ生まれた、「アメリカン・ドリーム」という言葉。その言葉をまさに象徴したイベントがニューヨークにあります。それが、アポロシアターで開催されている、アマチュアナイトです。




有名日本人歌手も参加!プロへの登竜門アマチュアナイトのユニークな評価方法

ニューヨークのマンハッタン区北部に位置するハーレム地区。

そこに毎年約130万人が訪れるニューヨークの観光名所のひとつ、アポロシアターがあります。

そこで毎週水曜日に開催されるアマチュアナイトは、いわゆるプロではない、アマチュアの歌手やダンサーが出演するプロへの登竜門です。


過去には、ジャクソン5時代のマイケル・ジャクソンやスティーヴィー・ワンダー、日本人では坂本龍一や和田アキ子、平井堅、aiko、ナオト・インティライミ、清水翔太なども出演していたというから驚きです。


そして、ここでの評価方法が実におもしろいのです。優勝者は観客の拍手で決まり、反対にブーイングを浴びると、パフォーマンス途中でも箒で舞台からはき出され、強制退場させられるという、なんとも厳しい評価方法なのです。




観客もパフォーマンスに参加をしているような臨場感。感動溢れるアマチュアナイト

まず、アポロシアターの中に入るやいなや、圧倒されました。

1860年代中頃に建てられ、アメリカ合衆国国家歴史登録財に登録されているその建物は、荘厳さに溢れ、ものすごい重厚感が伝わってきました。

ホール全体として決して大きくはないのですが、客席が3階までせり上がった構造になっており、観客とステージ上の演者が一体となるような、そんな凝縮された空間でした。


そうした造りだからこそ、ステージ上のパフォーマーは演技をとおして「観客」ではなく「目の前にいる人」に情熱を伝えることができるのではないかと考えました。

同時にその情熱を受けとる観客は、自分ごととしてパフォーマンスを楽しみ、自身の感動を率直に、ステージ上のパフォーマーに伝えやすい構造なのです。


公演中、感動でなんど身震いしたことでしょう。

わたしは専門家ではないので演技について詳しいことはわかりません。ですが、1つひとつのパフォーマンスは感動で鳥肌が立つほどで、本能的に心の底から震え立っていることがわかるのです。


アポロシアターのアマチュアナイトは、第六感をとおして「感動とはなにか」を教えてくれるものだと感じました。




会場の一体感が何よりも魅力!アマチュアナイトが人びとの魂を震わせる理由とは

なぜ自分がここまで感動したのか。それはこのシアター全体を包み込む歴史の重厚感がひとつの理由ですが、加えてこの舞台の上では、人種、国籍、年齢などが関係ないこともポイントです。


わたしが観に行った日は7歳のシンガーや、視覚障がいをもつピアニスト、さまざまな肌の色を持つアーティストなどが全米から集まりました。ひと昔前ならこの光景は異常だったはずです。

それでも、アメリカという国がさまざまな社会問題を乗り越えた今だからこそ、わたしたちが今、この景色を見ることができる

そんなことに想いを馳せる人はほとんどいないと思いますが、そうした歴史がこの場所の空気をたしかに形づくり、第六感をとおして伝わってくるのではないかと思うのです。


パフォーマー自身も、全身全霊でパワーと感情を観客に伝えてきます。この舞台に立つことは簡単なことではありません。

並なみならぬ努力と忍耐を積み重ねてきたことでしょう。才能だけでトップに上りつめる人は、ほんとうにひと握りです。


また同じ日には、これまで近所の教会やストリートで経験を積んできたというシンガーもいました。数かずの壁を乗り越えてきたからこそ、にじみ出る強さや、全身全霊でなにかを伝えたいという想いが、美しく観客の目に映るのでしょう。

そして、ここアポロシアターでは観客がその想いに共鳴するのです。スタンディングオベーションと割れんばかりの拍手で、心のうちを正直にぶつけます。感動が感動を呼び起こすその瞬間、涙が出そうになるほど心が震えるのです。


だれかを感動させること。それはだれかにパワーを与え、その人の背中を押すことでもあります。

このアマチュアナイトをつうじて、自分も人を勇気づけられる生き方をしたい、と強く願うようになりました。


どんな難題にも恐れず立ち向かい、全精力をかけて熱く生きていきたい。そんなわたし自身の決意を忘れないよう、ここに布石を打っておきます。