Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

首都圏映画サークル連合

【ご挨拶】新代表 石丸峰仁

2020.03.01 11:00

 新しく首都圏映画サークル連合の代表を務める大東文化大学映画研究会3年の石丸峰仁です。皆さまにはシネマターミナルの運営責任者として多くのご迷惑をおかけし申し訳ありませんでした。また、皆さまのご協力を賜りましたこと、大変感謝しております。

 私が連合を知ったのは2年以上前のことです。その時の私はいくつかの制作を経験して、部内だけでの映像制作に限界を感じていました。そのような頃に先輩に連れられGate003のファイナルに参加し、強い衝撃を受けたことを覚えています。これだけ素敵な作品を制作する人たちの輪に自分も加わりたいと思い、少しずつ連合と関わっていくうちに気付けば代表というあまりにも大きな仕事を引き受けることとなり、我ながら随分と遠いところに来てしまったと感じています。

 さて、連合はこれまで「学生映画を、一歩前へ。」をスローガンとして活動してまいりました。連合は創設から5年以上たち、私を含めた多くの委員は連合創設時の方々との面識が殆どありません。ここに至り、彼らがどのような理念、理想を掲げ、また具体的にどのような目標を立てていたのか詳らかに知ることは困難です。そのような中で、あえて正直に申し上げると、「学生映画を、一歩前へ。」というスローガンはすでに単なる記号と化しているのではないかと感じています。創設当時にはあったのであろう具体性はすでに失われ、私たちが共通の目的として進んでいくためにはあまりにも曖昧なのです。そして、この曖昧さは連合の存在さえも曖昧にしてしまっていると思います。この一年で、シネマターミナルをはじめとした連合のイベントにこれまでのような活気が見られなくなってしまったことには、もちろんそれは運営責任者であった私の力不足こそ最大の原因ではありますが、皆さんが連合の意義を捉えにくくなっていることも関係しているのではないかと考えております。

 そうであるならば、私や副代表の髙橋を中心として今期の委員会がすべきことというのは、こうした曖昧さを取り除き、創設時のように所属する人たちが一つの目標を共有できるようにすることであるのかもしれません。しかし私は連合が曖昧さを受容する組織であってほしいと願っています。また、そうであるべきだと信じています。

 サークルや部活動では、団体を円滑に運営していくために我慢を強いられることもあると思います。また、一つの団体としてある程度、目的や理念を共有することが求められます。もちろんそれ自体は決して悪いことではないでしょう。しかしそうした中で、自分の本当にやりたいことや、考えを言えない人がいるのではないかと思います。私もそうでしたし、そうした声を度々耳にします。対して連合は曖昧だからこそ、やりたいことや考えを追求できます。また、そのための仲間を見つけることが出来る場でもあります。私たち委員会がなにか一定の目標や、具体的な連合の目的を提示することはおそらくそれほど難しいことではないでしょう。しかし、「サークル/連合」にある「強い繋がり/弱い繋がり」という関係性は、連合の存在意義足りえると私は信じています。

 私たちは本来、連合というコミュニティすらも飛び出して繋がりを見出すことが可能です。私たちは日本国内、また海を越えた地の作品とそれを制作した人たちとも、それは実際に会うといった行為を伴う具体的な繋がりではなく、同世代の映像制作者というとても曖昧ではありますが、確かな繋がりを持っています。連合というのはこの曖昧ながらも確かに存在している繋がりに、一定の範囲で線を引いたものに他なりません。しかし、こうして線引きがされているからこそ私たちの繋がりは可視化され、シネマターミナルなどの場で出会い、互いの作品を批評し合い、朝まで様々なことを語り合うことができます。連合自体は曖昧な繋がりではありますが、そうした時間を通して具体的な繋がり、強い繋がりを築くことのできる場所でもあるのです。

 私がこれからの一年ですべきことというのは、この曖昧さをより価値あるものにしていくことにあります。おそらく、そのためにすべきことは特別なことではないでしょう。まずは、これまで鈴江さんや山本さんがやってこられたことをしっかりと継承していきます。連合の規模は確かに小さくなってしまったかもしれません。しかし、今回のシネマターミナルでは各コンペティション部門でもトークセッションをおこなうなどさらなる内容の充実を図り、3min映画祭では、団体毎に固まってしまうことを避けるという一見すると子供だましのような方法ではありましたが、それによって昨年度よりも交流を生むことができたと考えています。こうした試みを継承し、さらに発展させていく。基本的なことではありますが、これこそ重要であると信じています。そうした中で、他大学の上映会などに積極的にお邪魔させていただくなど、足を使った地道な活動もやっていきたいと思います。。また私は、既存のプラットフォームに囚われることなく、様々な方法で皆さんの多種多様な作品を鑑賞し、批評し合える場を連合内部に築いていきたいと考えています。その足掛かりとして、未だ試験的ではありますが運用を始めた連合の作品アーカイブをより充実したものとしていきます。そうした場の充実が、そこにある魅力的な作品の関係者と実際に出会い、語り合うことのできる場として上映会やイベントの充実にも繋がるのだと考えています。

 ここまでのご挨拶で、私はあえて「合同制作」という言葉を使いませんでした。これは「合同制作」がなにかしらの義務感によって生まれてほしくないからです。連合の繋がりが曖昧である以上、現在の連合は「合同制作」を目的とした組織であるとは言えないかもしれない。しかし連合をより価値あるものにしていく試みが結実すれば、そこで生まれた沢山の具体的な繋がりはやがていくつもの「合同制作」へと繋がっていくのだと信じています。

 連合の大きさに比して、委員会は決して強い存在ではありません。これからの一年間、皆さまにはご迷惑をおかけすることがあるかと思います。あるいは、上映会の会場など様々な場面でご協力いただくこともあるかと思います。私は改めて、そうしたご協力に応えられる連合を目指していかなければならないと決意しています。また、ご挨拶の場でこのような話をすることは失礼かと思いますが、委員会は基本的に人手不足です。もし、委員会の活動に興味がある方がいましたら、各団体の連合担当の方を通じて、また直接メール等によってご連絡いただけたらと思います。

 これからも首都圏映画サークル連合、委員会共々よろしくお願いします。


石丸峰仁