貧困のない世界をつくる
今後のアフリカでの事業で、主にマイクロファイナンスや教育提供事業を仕掛けるつもりですが、世界規模でロールモデルを探そうとした際に、恐らくどの途上国挑戦者からも名前が挙がるのがグラミン銀行のマハムドユヌス氏だと思います。
ということで、ここから連続的に氏の関連本を読んでみた感想を抜粋していきます。
www.amazon.co.jp/dp/415208944X
本書は氏のグラミングループでの取り組みを紹介しながらエッセイ的に振り返っていく流れになっているが、その中で気になった点を2つ抜粋。寄付フローとKPIの考え方について。
■寄付フロー
スカラシップマネジメントプログラムと呼ばれる制度が存在しており、貧困層の子供向けの奨学金制度として機能している。
多くの場合、途上国での教育の問題は、労働力とのトレードオフである。親からすれば、一日数ドルの収入でギリギリの生活をしている訳で、仮に子供の授業料が無償になったとしても、「その子供が農場で本来働いていたら得られていた金額」を失う(実際は失っていないが)ことになる。
もしそんな家庭の母親・父親の気持ちになったとしたら、納得できる理由でもある。そのため、このプログラムでは、まずは定期預金に一定金額(最低750ドル)を入れ、その年利で保証されている6%が子供の家庭に届く。親からすれば、子供を学校に送り出す事自体に金銭的なインセンティブが働くことになる。
出資者側にとっても面白い取り組みがあり、奨学金を受け取る学生のでもグラなどを指定できる。性別や貧困レベル、居住地域などなど、である。自分が支援した子供の成長レポートも受け取ることもできる。
2007年までに、130のスポンサー、1200人の学生が援助されたようである。
■KPIの定め方
国の主に貧困層を支援するなどした場合もそうだが、単純にGDPや大きな数字のKPIだけを追っていると、格差が取り返しのつかないレベルで広がってしまったり、といった負の要素がついてまわる。
が、バングラデシュでのグラミン銀行の場合は、
1973年から1年ごとに約1%ずつほど貧困率が低下している
にも関わらず、格差を示すジニ係数は0.30から0.31へ変化しただけである
(ジニ係数=格差が0の場合は0、逆が1、0に近いほど格差が少ない)