【北岳雪山登山 前編】リベンジ果たす、白峯の盟主【2020.3/2-4】
山梨の西側に南北に長く連なる赤石山脈(南アルプス)。その中にあって一際積雪が多く、「白い雪をかぶった山」という意味で昔から白峯(白峰 しらね)と呼ばれる三山が、登山をされる方には馴染み深い北岳・間ノ岳・農鳥岳の「白峰三山」です。甲府盆地から望むと、冬は雪をべったりと付いた山が少し顔を出すように見え、白峯の名に相応しいたたずまいを見ることができます。
白峰三山の北岳は花が咲く登山シーズンにもぜひ訪れてほしいですが、やはり名にし負う白峯の北岳は、毎年雪の時期に行きたい特別な地元の山です。何しろ昨年登った時は大雪に降られ敗退したので、今年はリベンジを果たしたいという思いもありました。
夜も明けきらぬ時間からスタートです。メンバーは店長の中込とスタッフ綾井、そしてアウトドアフォトグラファーの武部努龍さんです。初日の山行は夜叉神峠から林道を進み、鷲ノ住山ーアルキ沢橋ー池山御池小屋に泊まる予定です。
出だしからつまづきました…車止めゲートの脇を通りたいのですがパンパンに膨らんだザックが引っかかってしまいます。何とか斜面に少し降りてから通ることができました。さすがにゲート前で敗退はしたくない。
特に店長・中込のザックの重さがダントツで重い。何を持ってきたんだと訝しむも、僕が背負うんじゃないしってことでスルー。ザックの重さの秘密は後々分かることになります。
さてここから鷲ノ住山の入り口まで林道歩きです。地味~な登りが重荷を背負った体に響く。林道歩きのコツは「黙々と歩く」、ただそれだけでしょう。
鷲ノ住山の登山口は林道を4kmほど歩けば突然現れます。地味~な林道歩きから打って変わって、出だしから痩せた岩尾根の道を行きます。
気が付けば道が下りに変わっていたので、地図を確認したところここが山頂ということらしい。ここから一気に標高差を約400m程かけ降ります。
ここが結構急登で、帰りの登り返しが思いやられます。さあ対岸へ渡る吊り橋横の発電所が見えてきた。
吊り橋は危険につき一人ずつわたりましょう。何というかですね、橋が全体的に揺れるわけではなく、足元が左右に沈むように揺れるんです。
店長の顔は揺れに酔ったのか疲れの色が出たのか、ただただピンボケしているのか、ここからが本番ですよ!
次に奈良田ー広河原間にある林道へ登り上げます。軽荷なら大したことないところも、体を持ち上げるのが一苦労。
林道に合流すればほどなくしてようやく、ほんとようやく「北岳池山吊り尾根」の登山口である「アルキ沢橋」に到着です。ここで集合写真をパシャリ。初日の目的地である池山御池小屋まで頑張りましょー!
写真は撮ってなかったのですが、出だしの急登でフクラハギがパンパンになります。まだまだこれから!
中込「フゴー、フゴー」。店長の鼻息は荒い、北岳への意気込みが並々ならぬ様だ。
ちなみに暖冬の影響か、出だしは土が出ています。そしてすぐに薄く凍った道になるのですが、これがとてもやっかい。チェーンスパイクでは滑るくらい固い氷になっているので、12本歯アイゼンを装着します。
なんとか尾根に乗り上げれば、樹間から太陽が顔を出し始めました。幻想的な景色の前で最後の小休止をします。初日のゴールまでもう少し…
鳳凰三山の姿も樹間から見えるようになってきました。
中込「フガー!フガー!」。パンパンに膨らんだザックを倒木に引っかける姿を最後に、綾井と武部は店長を置いていくことにしました。
到着ー!ひとまずお疲れさまでした。この時期の池山御池は、小さな雪原のようになっています。太陽が出ているととても眩しく、樹林帯から急に現れる別天地のよう。
ほどなくして店長も到着!20kgオーバーの重荷を背負ってお疲れさまでした!
こういうところは埋まりますよね(笑)
三日間お世話になる池山御池小屋、そりゃあ誰もいませんということで貸切でした。天気がいいし持ってきたビールとつまみを持って、外で宴会をしましょー!
乾杯!うんうん、350缶じゃないよね、やっぱり500缶だよね。ジュー、ジュー…突如鳴り響く山では聞き慣れない音と食欲を誘う芳しい匂いが…
中込「男は黙って肉喰いねえ」。大量の荷物の中身の秘密は、宴会を豪華にする飯と酒を大量につめこんでいた為でした。
武部「置いて行ってスイマセンでしたあ!!店長素敵!!」
綾井「塩コショウは任せてくださあああい!」
ステーキ肉の前には綾井・武部の両人は黙ってひれ伏します。なんと翌晩には大量のスパムを焼き、韓国海苔で巻いたスパム巻きもご馳走に。
酒と肉を分け与え、踏ん反りがえる店長には頭が上がりません。ご馳走様でした!
そんなこんなでにご飯をたらふく食べた3人は、寝不足も相まって日が沈む前には泥のように眠り込みました。
二日目は小屋から山頂アタック、そして小屋に戻るまでの核心の行程です。天気も晴れ予報ということで、見晴らしの良い「ボーコン沢の頭」に夜明け前に着くように出発しました。
二日目はアタックザックに最低限の装備を詰め込みました。稜線で長時間にわたって強風に当たりたくない3人は、ちょうどいい時間に上がれるように調節しながら進みます。
「城峰」のピークから進むべき方向を90度変え、いざ北岳の山頂へ!
ステーキのくだりがなければこのフィールドレポートも一回で済んだんですが…長くなっちゃいましたので今回は前編ということで区切らせていただきます。冬期登山は登山口へ至るまでのアクセスが問題ですよね。山梨にもアクセスのいい八ヶ岳エリアがございますが、やっぱり行きたくなるのが南アルプス。早くも人と花でにぎわう夏山シーズンが恋しくなってきました。
後編は北岳稜線からの素晴らしい景色をお届けいたします!