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ひとりごと 〜 朝、起きる理由 〜

2020.03.13 03:14


 朝、起きる理由 



「 あぁ〜忙しい。忙しい 」



そう言って、毎日沢山の予定を入れている、おばあさんとの会話を覚えている。


少しせっかちで、いつも嵐のようにやってくる、姉御肌のおばあさん。


おばあさんのご主人は亡くなっていて、子供達も県外に住んでいる。


習いごとに、ご飯の買い物に、病院に、1人暮らしのお年寄りに声かけに行ったり…。とにかくいつも予定が詰まっている。



「 何でいつもそんなにお忙しくされるんですか?たまにはゆっくりしたらいいのに…。 」 


ある日何気なく聞いた。



おばあさんは、笑って



『 私達には起きるための理由が必要なのよ 。』


っと答えた。


『 毎日、ベットから起き上がる理由が必要でしょ。だから忙しく予定を入れているの。 』


『 予定や約束があれば、まだ寝ていたくても起きなければいけない。 起きたら、カーテンを開けて、ご飯を食べて、誰かと関わる時間を持たなきゃならない。そのためには服を着替えたり、髪を整えたりして、身なりを綺麗にする。夜になれば明日の予定を確認して、また眠りにつく。そうやって1日を生きていくの。』


『 若い頃は、仕事が起きる理由だった。子供や旦那がいる時は家族が起きる理由だった。でも今は私1人だからね…。ベットから起きなくても困らない。それが1日、1日増えていく。それは生きてるって言えないでしょ?』


『 人には起き上がる理由が必要なのよ。そのためには場所が必要。起きた後に行ける場所がね。』


『 ゆっくりなんて、この歳になればいくらでも出来る。でも残りの元気な時間には限りがあるから、今日やれることは今日やっておきたいのよ。』


『 仕事でも家族でも、自分に起き上がる理由があって、居場所があるって恵まれていることよ。若い頃はきついかもしれないけどね…。』



その時のおばあさんは、懐かしい思い出を話すように、穏やかな表情をしていた。



 朝、起きる理由 。


理由がない人は、朝起きて眠くなるまでの時間をどう使うんだろうね。


起きたまま着替えないで、顔も洗わないで、テレビやパソコンのスイッチをつけて


お腹すいたら、その辺のインスタント食品を食べて。


何をするわけでもなく、ただ1日が過ぎるのを待つ。


「 お前は、朝が来る怖さを知らないだろ。」


ニートっと一般的に言われる人に変わっていった友人に、朝からちゃんと起きるように言うと、そう言い返された。


あの時には、全然意味がわからなかった。


だけど、おばあさんとの会話で怖い意味がわかった。

彼には起きた後に行く場所がなかった。

やることもなかった。



ずっと眠っていたくても、毎日目が覚めて起きなくてはいけない。


だけど起きる理由も行く場所もない…。

長い1日が始まり、繰り返される。



1人だと24時間自分のために使える。

その時間は平等のはずなのに、誰かには短くて、彼には長かった。



新型コロナの影響で、今までやってたヨガの教室がお休みになったら、朝から起きる理由が無くなった。


代わりに、今まで出来なかったことや自分の練習時間にあてた。


定年で仕事がなくなったおじいさんは、近くに畑を借りて、孫のために無農薬野菜を育ててた。


子供が巣立って行ったおばあさんは、綺麗な衣装を着て、近所の健康ダンス教室に通ってた。



人って生きている限り、起き上がる理由と場所が必要なんだと思う。


それは年齢によって、環境によって変化するし、気が乗らない日だってあるけど


今日、目が覚めて起き上がる理由があることは、当たり前じゃないんだと思う。


それが時に、鬱陶しい時もあるし、めんどくさい時もある。


でも、やっぱり起き上がる理由があるって、おばあさんの言う通り、恵まれているんだと思う。


生きるために起き上がるんだからね。

生きるって楽しいことばっかりじゃないし、苦しいこともあるけど…


生きているから、学べることがたくさんある。私は間違いなく、そんな学びに触れたくてこの生を受けたんだと思うから…。



朝、起きる理由があることは決して当たり前じゃないし、起きた後に行ける場所やすることがあることは有り難いことだ。


今日起きられたことに感謝をしています。



おしまい。





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