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インペリアルナイツ

Re:ヤミから始める砂漠生活

2020.03.07 05:30

「ねぇ?

この旅が終わった時、キミは何処に行くの?

何処へ…還るの?」

私は、まるで独り言のように呟いた。

いえ…、周りの人間にしてみたら、本当に独り言なのだけど。

『何処に行くか、何処へ還るか…か?

クク、何処でもいいさ。

辿り着いたその先で、オマエがオレを楽しませてくれるならな?』

想像した通りのままの答えが返ってくる。

期待を裏切ることのない、キミの言葉。

そういうところが、本当に…。

本当に。

「ねぇ?」

『おい、どうしたんだ?

今日は、やけにお喋りじゃないか。

そんなにオレのことが好きか?』

ええ、そうね。

キミのことが、こんなにも。

「…ずっと、一緒にいたいよ」

この旅が終わる、それが意味すること。

それは即ち、キミとの別れが来るということ。

キミといる意味が、キミといる理由が、なくなってしまうなんて。

そんなの、嫌だよ。

「キミと、一緒に」

『そうだな、クク!

オマエはオレが見込んだ人間だけあってなかなか面白い奴だから、オレにとっても悪くはない選択だな!』

そう、私は人間。

私の命はいつの日か尽きて、肉体は滅びを迎えてしまう。

キミは未来永劫変わらぬ姿で、永遠に生き続けるのに。

なんて、不公平なのだろう。

私もキミと同じになりたい。

そうして、永い、永い時…、魂を共にして、生きていたい。

「だから、お願いがあるの」

溢れそうな涙を堪えて、震える唇を噛みしめて。

ようやく、私は声を絞り出した。

『まぁ、他ならぬオマエの頼みなら、聞いてやってもいいぞ?』

うん、やっぱりね。

キミならそう言ってくれるって、信じていたよ?

「私の身体を、キミにあげたい」

いつかジョルダイン卿が、禁忌とされた闇に触れ、それに魂ごと取り込まれてしまったように。

「私も、キミに触れたい」

そして、キミとひとつの存在になりたいの。

『つまり、オマエがオレになって、オレがオマエになるってことか』

キミは、本当によく解ってるね。

もう口に出さなくても、私の考えていることは、何もかも汲み取ってくれるんだろうな。

そうだよ、と言おうとしたけれど、もう言葉にはならなかった。

嗚咽しそうになるのを、懸命に耐える。

代わりに私は、精一杯の笑顔で頷く。

『クク!オマエ自らジョルダインの二の舞志願か?』

「ふふっ…ホント可笑しいよね、こんなこと!」

『悪くない話だ!試してみるか?』

受け入れてはもらえないだろう。

冗談はほどほどにしろよ、と笑い話にされるだけだと思った。

だから、私は思わず目を丸くした。

「え…?今、なんて…?」

『人間てやつは、何かと不便な生き物だからな。そうじゃなくても人間は気に食わないが、オマエは特別だからな!だから、オマエとならやってみてもいいぞ?』

大きく見開いた眼に映る、漆黒よりも深い闇色の中の紅が、妖しげに渦巻く。まるで私を誘うかのように、ゆらゆらと揺らめきながら。

『さぁ…オレに触れてみろ』

それはいつもとなんら変わらない、キミそのものの口調。でも、どことなく優しさを滲ませているような、気が、した。

『初めては…怖いだろうな。想像を絶するような痛みを味わうかもしれないぞ?』

靄のように実体の無いキミが、震える指先に絡みついてきた。直後、まるでそこから電流を通されたかのように、何かが身体中をびりびりと駆け巡った。肺を鷲掴みされているかのように息苦しい。四肢が引きちぎられるように痛む。大量の虫が蠢いているのではないかと錯覚するほど、背筋がざわざわする。

『だが、心配はいらない。恐怖も苦痛も一瞬だ。すぐに…快楽に変わるさ』

刹那、走馬灯のように何千という景色が脳裏に過ぎった。

これはーキミのー記憶ー?


見慣れぬ水辺の街、数多に連なる山脈、青々と緑が生い茂る森、黄金色に染まる朝焼けの海、星の煌めきに彩られた夜空、そしてー。天までも届きそうな程に高く高く聳え立つ、円柱の塔。

どこまでも渇いた砂埃が舞い、立ち昇る陽炎が視界を揺らめかせているー。


数えきれない時間

いつも静かな砂漠の真ん中で


ずっと独りだった。

でもそれが当たり前だった。

寂しい?悲しい?苦しい?

そんな感情はとうの昔に失くしていた。

どうして?嗚呼、どうして?

痛いーイタイー心がーココロがイタイー

熱いーアツイー目の奥がーオクがアツイー


此処が何処なのか 自分が誰なのかさえ

解らなくなる時でも


ある時、何かのきっかけで、永い眠りから目覚めた。


完成されていない楽園 人間の大地

完成させなければ


これはーキミの見てきたー世界。

これがーニンゲンの棲むー世界。


我 々 と 共 鳴 す る 者 よ


嗚呼、偶然なんかじゃなかったんだ。

私とキミは運命に導かれ、巡り会った。

私はキミに選ばれたんだ。

何万といる人間の中のたったひとりになれた。キミだけの私に。

どこまでもー昂って止まないー嗚呼

何だーこれはーヒヒッ

嬉しい?楽しい?嗚呼ー嗚呼ー私、は


身体も精神も満たされて、ふわふわと宙に浮いているような感覚に囚われている。

キミのナカは、なんて居心地がいいの。

ずっとこうしてー全身でキミを、キミだけをー感じていたいよ。

奥でーもっと、もっと、奥で、イかせてー


ーーーキミとひとつにーーー


漣の如く押し寄せる快楽に抗うこともせず、ただただその身を委ねながら、私は「私」であるという意識を、そっと、手放したーーー。




たったひとつだけ 忘れないことがあった

私達が共にした日々を覚えてる?




ふと、誰かに呼ばれた気がした。


それは、自分の名前なのか?

そうかも知れないし、或いは違うかも知れない。

暗闇の中に堕ちていた意識が、薄らと現実の世界へと引き戻されてくる。

目蓋の裏が、やたらと眩しい。少ししょっぱい風が、鼻腔を擽るように吹き抜けていく。

ざらざらとした砂を掴む感覚。どこからか聴こえてくる波の音。

此処は…何処かの浜辺…?


そうか。ここは、始まりの海。

そうだ。ここで、「オレ」は。


ーーーオマエとひとつにーーー



大丈夫


失くした記憶は 新しく埋めれるから


私達の約束は 永遠だから




\☆黒い砂漠モバイル一周年☆/


/☆★☆おめでとうございます☆★☆\