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食材が舞う"日本のおいしい"プレート(東京・神田 The Blind Donkey)

2020.03.08 16:39

食事をするときに、ふと、考えることがある。

お皿が食材にとってのステージだとするならば、食材は演者。料理を作る自分は舞台監督。

私は食材がステージに上がるために、最大のパフォーマンスをお皿の上で演出させてあげられただろうか?って。


東京・神田の言わずもしれた有名店The Blind Donkey

アメリカで最も予約の取れないレストランとも言われ、食の世界に革命的なムーブメントを起こし続けるオーガニックレストラン「シェ・パニーズ」の元総料理長ジェローム・ワーグさんと、中目黒の人気ビストロ「BEARD」(2016年閉店)のオーナーシェフだった原川慎一郎さんが、日本の生産者の想いを伝えるレストランとして2017年にオープンしたお店。

これだけのキーワードで察してもらえればと思うけれど、レストラン界の"超サイヤ人(スーパーサイヤジン)"感がすごくて、恐れ多く感じてしまい、実はずっと行けてなかったお店。

そんなレストランチキンのわたしに今日は絶好のチャンスが訪れた。

約1年ぶりにサンデーブランチ(日曜限定ランチ)が復活、これは行かなきゃ!と二日酔いの重い体を引きずって神田まで向かった(ランチくらいならわたしもいける、なぜかそう思った。)。


ようこそ、"日本の美味しい"へ

13時ちょっと前、お昼のピークタイムをズラしたつもりだったけれども、店内は雨とかコロナとかどこかへ消えたかのような賑わい。

お客さんは皆、『&Premium』とか『POPEYE』みたいなマガジンハウスのセンス抜群の雑誌から飛び出してきたようなおしゃれなお客さんしかいない、、やばい、大丈夫かな?なんて焦っている私が通されたのはカウンター席。レストランのS席だ。

サンデーブランチは1800円のランチプレート一択。ワインに合わせられるチーズやサラミのプレートもあるけれど、基本はこのランチプレート。

全国各地の生産者さんの美味しさ・背景ストーリーを知り尽くしたThe Blind Donkeyのスタッフが美味しいを詰め込んだ一皿。まさに"日本の美味しい"プレートだ。

ライブ感のあるキッチンを見ながらお料理を待つ、開演前の待ち時間ほどあっという間に感じることはない。注文してからしばらくして「お待たせしております。」というスタッフの声と一緒に到着したのは、キラキラと食材が舞っているかのように輝くプレート。「わあ、、」思わず声が漏れてしまった。


最小限で最大限の美しさ、美味しさ

キラキラ輝くお料理を前にすると、フォークとナイフを持った手がつい止まってしまう。そう、迷ってしまうのだ。まるで、イケメンを前にすると前日までイメトレしていた会話のネタとか、全部吹っ飛んでしまうように。何から食べよう?どの順番で食べたらいい?なんて。何話したらいいんだっけ?どの話から攻めたらいいんだっけ?みたいな。

宮島・中岡農園の「緑のお野菜と柑橘のサルサ」から。緑のお野菜の程よい柔らかさ、主張しないけれどもしっかりと葉野菜の青さを引き立ててくれる柑橘の香り。食べて、カラダの内側が浄化されていくようなそんな純粋さとか洗練さを持ち合わせた一品。これ、ボウルごと下さい!って言いたくなりそうなほどスイスイ食べ進めてしまった。

北海道・山田農園さんのジャガイモを使った「とうやのフライドポテト」今まで散々フライドポテトを食べてきたけれども、もしかしたら今までの人生の中で一番美味しいフライドポテトかもしれない。

カリッと上がった皮付きのジャガイモは、一度蒸したジャガイモを丁寧に熱々の状態で一口サイズに解してフライにしている。カウンターの目の前で、蒸したてのジャガイモが解かれていく様を見たけれど、ジャガイモがほくほくと湯気をたてている情景は本当にセクシーで美味しそうだった。

それが今カリッと、そして柔らかなフライドポテトとなってわたしの元に。丁寧に作られているのが一口でわかるその味は、12時間経った今でも忘れられない。

メインとなるのは、鹿児島・ふくどめ小牧場さんと京都・吉田パンさんの食材を使った「プルドポークサンド」。プルドポークとは豚肉じっくり煮込んで細かく裂いたアメリカの家庭料理。

丁寧に煮込まれた豚のお肉は、余分な油を落としつつ旨味をぎゅっと身に染み込ませていて、さっぱり食べられる。吉田パンさんのパンも香りとコクと甘みがしっかりしていて、豚肉との相性も抜群。こんなに贅沢なサンド、一体何口で食べ終えてしまうのか。食べ終わるのが名残惜しくて、大きな口を開けてガツガツ食べ進められない。ああ、美味しくてつらい。


「食材がどれもいいものなので、少し手をかけるだけで充分美味しくなるんです。」

そう語ってくれたのは、わたしの目の前でデザートのタルト生地を仕込んでいたスタッフのお兄さん。おそらくわたしが、一口食べるたびに悶えて、天を仰いでいたのを見ていたのだろ…そう話しかけてくれた。

▽お手洗いの前の壁一面に貼られているのは「生産者さんからの手紙」お店と生産者の絆と信頼の強さが見てとれる

確かに、どれもシンプルな味付け。でも丁寧に食材から料理へと仕上げているのが伝わる品々は、食材がお皿のうえで生き生きと舞っている。そして味も素晴らしいパフォーマンスに仕上がっている。

最小限の職人技で、食材のパフォーマンスを最大限に。

わたしがもしお野菜ならば、こんな風にお料理にされたい、そう思ってしまった。


初めてのThe Blind Donkeyサンデーランチプレートはまさに舞台だった。生き生きする食材と言う名の演者と、舞台監督・シェフたちが、ワクワクする一皿を創り上げる。

わたしは今日そんな舞台を見た観客のひとり。今度は夜の部もぜひ見たい!そんな気持ちにさせてくれた。次はディナータイムに行かなくっちゃって。


ランチでは実はデザートも食べたけれども、ちょっと長くなりそうなのでデザートは次回に。


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The Blind Donkey

東京都千代田区内神田3-17-4 1F

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