「海」の法則と経絡
四海の反応も浅層と深層の入れ替わりや、近位と遠位での左右の変化は、人体を3Dで考えれば、当然の結果と言える訳です。
筋膜のつながりなども、どの筋肉が緊張すれば、そのつながりで、どこどこにも影響するという話しはよくわかりますが、あくまでも部分的な話しです。
全体とつながっているという話しではありません。もっと全体観というのが必要だろうと思います。 また、その筋膜が何故緊張したかということはあまり話題になりません。
その筋膜が緊張しているということは、どこかが通常より緩んでいるはずですが、その緩んでいる部分はあまり注目されません。今後は、深層における深度のバランスなどを観察してみようかとも思っています。
どのあたりで深く潜るのか?
その左右差は?
その意味は?
というような疑問を投げかけて身体を観察していこうと思っています。 そうすることで、ホントの意味で、「海」が身体に与える影響を明確に示すことができるようになってくるのではないかと思います。
しかし、複雑になると臨床は、常にイレギュラーとの戦いです。法則どおりに事がすすむのは、3割程度です。 あとの7割は、イレギュラーが必ず含まれます。
そんな身体であっても世界観を単純なものにするとイレギュラーが限りなく少なくなります。初心者や迷いが生じたベテランには、単純な世界観を再提示したいなと思っています。
皆さん、複雑にしようしようとしてしまいます。しかし、単純な思考の積み重ねの上に複雑なものは成り立っています。難しいことを言って、尊敬されたいみたいに思っているのかもわかりません。
自分の目で見て、感じて、答えを出すという訓練が滅茶苦茶不足しているなと思います。
単純にした異常なら、パターンを知っているだけでも全体の調整が簡単にできるようになります。もちろん完璧ではありません。しかし、完璧に治療することが必ずしも良い結果になるとも限りません。時間をかけて僅かな変化を起こし、それを積み重ねなければならない時はあります。
治本法が難しいとよく言われますが、全体の調整は単純です。やるおことも非常に少なくてすみます。しかし、局所の調整は、常に複雑でイレギュラーが伴います。これを法則化させるのは並大抵ではありません。なぜなら個人的に全く違うからです。
ちょっと考えれば当たり前のことなのですが、それを理解していない人も多いように思います。
複雑な数学は、1+1が2になるという大前提を知っていないと解けません。身体も全く同じです。
全体の調整をしようと思ったら、いかに単純に思考するかが大きなポイントです。 単純な異常を何度も何度も経験して成功体験を積んで、少しずつ複雑な異常をチャレンジしていけば、理解度も早くなります。
「海」に対する理解というのは、そんな臨床をする為の第一歩だと考えています。