新型コロナ対策の決め手は気道表面の線毛運動
今、大問題になっている「新型コロナウイルス」に対する会長山田豊文の考えです。
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このウイルスに関することで、特に注目すべき点だと思われることは、感染しても無症状の人や、軽い風邪のような症状のみで終わってしまう人が多いことです。そして、軽い風邪のような症状が出た人は、上気道に軽い炎症を起こす程度で済んでいることです。一方、重症化した人や死亡した人は、肺炎を起こしていることです。これは、インフルエンザウイルスの場合とは様子が異なっていることにお気づきだと思います。インフルエンザの場合は、無症状~軽い風邪のような症状で済むことは殆どありません。誰もが38℃以上の発熱を伴って、しんどい思いをします。では何故、新形コロナウイルスの場合は、人によって明暗を分けるような結果を生むのでしょうか?
次に注目すべき点は、重症化するのは高齢者や、何らかの基礎疾患を持っている人であって、逆に、重症化し難いのは子どもたちや、元気な若者たちだということです。これも、インフルエンザの場合とは少し様子が異なります。インフルエンザの場合は、元気な子どもたちでも感染すれば発熱し、しんどい思いをします。従って、いわゆる「免疫力」の問題以外にも、何か秘密がありそうです。
あともう一つ注目すべき点は、新型コロナウイルスは、主に咽頭や肺で増殖するという特徴を持っていることです。即ち、体の奥深くに侵入する前に増殖することです。
さて、以上のことから勘案すると、新型コロナウイルスの感染を避けるために最も有効な方法は、上気道から気管支までの内表面で活動している線毛上皮細胞に、しっかりと線毛運動を行ってもらうことだ、という結論に達します。元気で健康な人は、この線毛運動が活発ですから、気道内に新型コロナウイルスを吸い込んだとしても、粘液に絡まれた状態で線毛運動によって追い出されてしまいますので、なかなか感染に至りません。
そしてまた、感染してしまったときに重症化を避ける方法については、気道上皮にある腺細胞に粘液をしっかりと分泌してもらい、やはり線毛上皮細胞にしっかりと線毛運動を行ってもらって、増え始めたウイルスをできるだけ多く追い出してもらうことです。要するに、気道のバリア機能や排除能力を強化することです。
逆から言うと次のようになります。たとえ感染しても重症化しない人というのは、ウイルスが増殖する前に気道から追い出すことが出来る人だということです。
巷では、感染ルートの遮断、消毒や手洗い、マスクの着用について声高に叫ばれていますが、ウイルスが増殖する現場(ヒトの気道や肺)を改善することについては特に言われません。この延長線上には、人間自身がこの新型ウイルスを“養殖”して増やすという構図が出来上がります。即ち、人間の呼吸器粘膜が、ウイルスの“巣”になるということです。
現代人はいつもそうです。自らを改善するのではなく、害になるものや、汚そうなものを排除し、それを遠ざけようとするだけです。そして自らを改善する努力をせず、安穏に暮らそうとするのです。そのせいで、私たちは、侵入しようとする異種生物を排除する能力、或いは異種生物と共存する能力を極度に低下させてしまったのです。
今、子どもたちは学校に行けなくなったため、運動をせず、家に閉じこもってゲームなどに時間を費やしています。上述しましたように、子どもたちの感染リスクや重症化リスクはもともと小さいのですが、このまま家に閉じこもってゲームをしていると、今度は子どもたちのバリア機能や免疫力の低下が進み、子どもたちに感染や重症化をもたらしてしまうことになります。
私たちが最優先で考えなければならないことは、低下してしまったバリア機能や免疫力を取り戻し、出来る限り高めることです。そのためには、子どもたちには、日光をたっぷりと浴びさせ、外で元気良く遊ばせ、お腹を空かせ、ビタミンやミネラルの豊富な自然の食べ物をいっぱい食べさせることなのです。 (2020年3月3日)