"美容室"の域を超えた進化した美容室
先日ヘアドネーションをした美容室。
おったまげーな悟り空間でした。
どうせドネーションをするんだったら、ドネーションの想いが同調するようなとこがあればいいなぁと調べてみたところ、自然派で良さげなとこがあったのであまり深く考えず期待せずに行ってみました。
美容室のある建物に着いた瞬間
ワォッ♡
すぐにただものではない何かを察知。
良いエネルギーがぷんぷんと匂ってくる
二階の店舗に向かう階段には無造作にプランターが植えられていて、まさに"陽当たりが良い"感じ。
店舗に入ってから、スタッフの飾らない笑顔と無駄がないシンプルで丁寧な対応。
しばらく待っていたら本日担当しますという美容師さんあらわる。
ん、なかなかかわいいこ(男)やん。
本日はドネーションされるんですね。
はい。
ドネーションについての一連の説明があり
長さやスタイルはどんな感じにしたいとかありますか〜と。
いつもはcm切ってくださいとセンチ単位で伝え、前髪はなしでサイドはこうでと細かい要望を出し、自分の髪の性質や癖などもだいたい説明してから、ほぼ自分が全部要望を出して美容師さんがそれに応えるという感じなんだけど(嫌な客だよな〜)
美容師さんの好みでギャル風にされても困るし、老けた感じになっても困るしね。
今回は座った瞬間に何かが降りてきました。
あなたに全てをゆだねます、信頼してお任せします、似合う感じにして下さい ニコッ。
おいおい どしてしもたんや 私!
彼にはエゴや好みを押し付ける感じが全くなく、フィルターを通さずに私をそのまま見てきっといいものを引き出してくれるだろうという安心感が自然と湧いてきたのです。
美容師さん、はい わかりました
と一瞬目を閉じて静かに気合を入れた感じ。
まず頭の形を手で触り、髪の毛の生え方やツムジの位置や回転の向きなどを確認してから、大胆にハサミを入れ始めました。
立体的に双方向からハサミを入れる独自の進化したカット法です。
こんなに誰かに何かを委ねたことってあんまりないかもしれない。それも自然にそうしたい気持ちになるなんて!
いつも全部自分で最初から最後まで事細かに決めたい私ですから。笑
まずハサミのチョキチョキとしたサウンドが耳にダイレクトに入ってきました。
いつもより何十倍もハサミの音が鮮明に聴こえます。
よくよく店内を観察してみたら、まずBGMがかかっていません。また雑誌が置いてありません。
余計な心の雑音がないものだから、もの凄くハサミのサウンドに集中できるのです。なんて軽やかなサウンドなこと、しばらく私はその音に酔いしれてしまいました。
また雑誌を置いていないのは、お客様が雑誌を読むと頭が傾いたり肩や首の位置が変わって、上手くカットできないのだそうです。
お客様の姿勢をなるべくニュートラルな状態にしてカットしていますと。
なんじゃ?!ヨガかいな。
大体カットして全体像ができたら、一旦洗ってからまた仕上げますとシャンプー台へ。
洗髪をする両手が頭に触れる感覚がまたまた軽快でエレガントなこと、もう永遠やり続けて下さい〜って感じ。
痒いとこありませんか〜っていうあの決まり文句も言わない。あれって意味あるの?痒いとこあってもフツー言わんやろ。
今まで受けたシャンプーなんやったんや〜。金返せー。
で、シャンプーは相手からは何の紹介も押し売りもなかったけど、私がどんなシャンプーなんですか?と聞いてみたら、シルク(絹)を特別な方法で抽出したシャンプーを使ってるらしいです。お婆ちゃん達の白髪がみるみる黒く回復してくるらしい。
シャンプー台から起こされて、店内をもう一度見渡すと、伸び伸びと天井まで広がったぶどうの蔓や葉っぱ、そして生き生きしたグリーンが沢山店内を埋め尽くしている。緑が幸せそう。
そして不思議に思ったのが、店内のど真ん中にピアノが置いてある。
何でピアノがあるんですか?と聴いてみたら、
僕たちスタッフ全員(3人)がピアノとデッサン(絵描き)を週一回お店がお休みの日に習ってるんです。
お客さんでピアノとデッサンの先生が居て、来てくれるんです。
ピアノをすると感性が磨かれて指先の感覚も冴えてくる。特に利き手じゃない左手を使うということが役に立つんです。
そしてデッサンは足し算なので、カットは引き算だから、逆のことをすることでバランスが均れるんですと。
カットの技術を上げるには、カットだけ練習してても上達しないです。
色んなことをすると、結局全てが真ん中では繋がっているから自然と分かってくる気がしますと。
今の私のヨガの指導に対する想いとすごーくシンクロしました。
しかもこの美容室、カットしかしてないんですよ。
パーマとか、ヘナ(自然染料)を除くカラーリングも、ヘッドスパなどもやってないそうです。
そしてホットペッパーなどで特に宣伝もしてないそう。
利益を追求して色々やるんじゃなくて、自分達がやりたいこと、シンプルに良いと思ってることしかしてないのね。
そして私を担当して下さった美容師さん、大学で社会学を学ばれてしばらく社会人をしてから美容師になられたそうです。
美容師になったらどんなことも極められるという確信があったそうです。
接客、営業、技術。
人間として社会に貢献していくために必要なことが自然と身に付くし、お客様と話をすることで毎回学ばせて頂くことが多い、まさに天職ですと。
また彼のパフォーマンスの良さは、おそらく店舗全体、他のスタッフにも通じるもので、オーナーの哲学や教育が素晴らしいのだと感じました。
僕たちはお客様に100%ベクトルを向けてやってます。一人一人のお客様のために何がベストなのか毎回出し切ります。
自分に少しでもベクトルが向くと、自信がなくなったり迷いが出て上手くいかないので…と。
私はどんな偉い先生や哲学者に話を聴くよりも、目醒め奮い立たされました。
しばらく通いたいな〜と思っていたら、なんと5月に岡山に移転されるそうです。
岡山の美作で古民家を再生し、農業、食、整体、宿泊、美容室を兼ねた施設を作られるそうです。
もうあっぱれ!という言葉しか出てこない。
帰り道の足取りや心が躍るように弾んでいたこと、そして髪だけではなく全身が整えられた清々しい感覚。
そんな仕事をしたいなぁ〜。
気が引き締まるというよりは、ふわっと背中を押された感じでした。
似合わせヘアもなかなか好評です。
ありがとうという感謝の気持ちは、そっと風に乗せて送りたいと思います。
言わなくてもきっと届くと思う!