こんな素材を待っていた!建築の可能性を広げる10の新材料
日経クロステック/日経アーキテクチュア より
今までよりもっと軽く、薄く、強く、使い勝手が優れた素材に。
建築材料が驚くべき進化を遂げつつあります。
日経アーキテクチュア2020年3月12日号では、
特集「設計者がザワつく 驚異の建築材料」を掲載しました。

(写真・資料:帝人、石川 典人、ティエムファクトリ、TBM、
大王製紙、東京大学生産技術研究所、金沢工業大学COI研究推進機構、米国化学会)
特集の前書きを引用します。「建築材料が、新たな時代を迎えつつある。
構造やデザインの可能性を飛躍的に広げたり、住宅の省エネや廃棄物の削減
を強力に後押ししたり。建設会社や住宅メーカーが、異業種の大手企業や
気鋭のベンチャー企業などと組み、日夜、開発を進めているのだ。
常識を覆す新たな材料の数々、あなたならどれを使う?」
特集では、建築の可能性を広げる有望素材として10の素材を取り上げています。
例えば、「Fe-Mn-Si系耐疲労合金」。従来の鋼材の約10倍もの疲労寿命を持つ合金で、
これを芯材に用いた制振ダンパーを竹中工務店と物質・材料研究機構(NIMS)、
淡路マテリア(兵庫県洲本市)が開発しました。
長周期地震動による繰り返しの揺れや大地震の連発にも対応できるのが売りです。
竹中工務店はこの鋼材ダンパーを、2019年8月末にオープンした愛知県国際展示場に
初適用しました。構造設計を担った同社名古屋支店設計部構造1グループの
梅村建次副部長は、「構造設計者にとっては夢のような材料だ」と話しています。
「AFRW(Advanced Fiber Reinforced Wood)」もこれからの注目材料です。
CFRP(炭素繊維強化プラスチック)などで補強し、曲げ剛性を飛躍的に
高めた集成材で、都市部の木造建築物の梁にうってつけの材料です。
帝人が前田建設工業や高知大学の協力を得て開発しました。
帝人アラミド事業本部の尾崎大介ソリューション開発部長は、
「部材を軽くできるので建て方も楽。制約がある場所で効果を発揮する材料だ」
と説明します。AIとビッグデータで材料開発のスピードアップ
建物性能の高機能化や、施工の生産性向上だけではありません。
材料開発の世界では近年、新しいムーブメントが次々に生まれています。
特集では、環境問題への対応としての「サーキュラーエコノミー(循環型経済)」、
AI(人工知能)やビッグデータを駆使して材料開発のスピードアップを図る
「マテリアルズ・インフォマティクス(MI)」といったトレンドについても
解説しています。異分野発の材料革命が、建築界にも押し寄せています。
素材を知り、その可能性をいかに引き出していくかは、
建築設計者にとって重要なテーマの1つです。
ぜひ本特集で今後のヒントをつかんでください。