英国処女王10-窮鳥メアリ、エリザベスの懐
2020.03.15 11:38
メアリ・スチュアートは、船でイングランド北部のワーキントンという小さな港に着いた。「窮鳥懐に入らば」とか言うが、やっかいな客であった。メアリはスコットランド復帰を要請したが、そんなことを援助するわけにはいかない。かといってフランスに行かれるとさらにやっかいだ。
しかしスコットランドからは告発の手紙が来た。エリザベスはともかく、メアリを幽閉だか客人だかわからない状態で、メアリの審理を始めた。さらにやっかいなことに、1568年9月3日、駐英スペイン大使が交代し、カトリック強硬派のデ・スぺが就いた。
デ・スペは、エリザベスにさっそくネーデルランドに手を出さないように言い、抗議された。そして本国へは「イングランドをカトリック復帰させる絶好の時期だ」とよけいな手紙を送るのである。そしてメアリにはイングランド王位継承を強化させるようなノーフォーク公との縁談が勝手にすすんでいく。
11月29日、スペイン船がイングランドに漂着、それにはオランダ対策の金があったが、デ・スペはエリザベスが着服した、とオランダに讒言して、オランダ総督アルバ公は、オランダから英国船と商人を締め出した。エリザベスはスペイン船を拿捕する対抗措置をとる。そして決定的事件が起こるのだ。
下はメアリがワーキントンの貴族に渡したカップで「ワーキントンの福」と呼ばれる