会社に企業理念は必要か。
新年度が始まり、「起業体験プロジェクト@セブ島(セブプロジェクト)」も本格的に動き出しました。ゼミ活動の一貫として起業体験プロジェクトを行い、実践を通して経営学を学ぶことを目的としています。しかし「実際にどうやって学んでいるの?」という疑問があると思います。そこでこの「起業体験プロジェクト@セブ」では、プロジェクトの中での感想・学びなどを書いていきたいと思います。
第一回は、企業理念についてです。
「果たして、本当に企業理念は必要なのか」
昨年度の活動の振り返りの中で、このような議論をする場面がありました。昨年度行った2つのプロジェクトでは、最初に全員で考えた理念はどちらも忘れ去られてしましました。そこで「どうせ忘れられるのなら、設定する必要はないのではないか」と、先生が皆に投げかけたのです。世の中に存在する会社には、必ず企業理念が存在していますが、改めて、なぜ企業は理念をもつのか、企業が企業理念を持つことは必要なのか、について考えると明確な答えを言えるし人はいませんでした。
議論は支持派と反対派に分かれ、支持派では「目標を持つことでモチベーションに繋がるのではないか」反対派では「途中で変わってしまうのなら時間を割いてまで決める必要ない」などの意見が飛び交いました。結局、明確な根拠をもって結論を出すことが出来ませんでした。
今年のプロジェクトでは、初回のゼミで、事業内容の話し合いからスタートしました。しかし、驚くほどに話し合いが進みませんでした。内容を詰めていくには、決めるべきことがたくさんあります。しかし、私たちはこのプロジェクトを通して何をしたいのかが全員で共有されていなかったために、事業内容や組織体制を決めようと思っても、それが出来なかったのです。
「やっぱり、企業理念から考えよう」ということになりました。話し合いでは「個人で達成したいこと」「チームで達成したいこと」「このプロジェクトを通して何をしたいか」、この三つについて、個々で付箋に書き出し、全体で共有しました。そうすると「この意見は似ている」など、段々と皆が目指したいものが見えてきました。「笑顔」「希望」「持続性」などのキーワードがあがってきました。
最終的に企業理念は「Ashizawa Legacyを残す」に決定しました。「何かフィリピンに私達が残したい」。昨年、フィリピンチームと関係を築いていく中で強くなった思いです。「短期的なプロジェクトとしてではなく、持続的にフィリピンの人が笑顔になり、希望をもてるビジネスを。」という思いが込められています。
ぼんやりと個々で感じていた思いが可視化され、全体の方向性も定まりました。
全体的な目標が定まると「この事業は持続性に繋がるよね」「この事業って私達の思いとはずれている気がする」など、事業内容も全員が納得の行く決定をすることができました。
今回の出来事を通して「やはり、企業理念は必要!」と痛感しました。組織の人数が増えれば増えるほど、目標が共有されていないと「何をどう決めれば良いのか」という軸が定まらなくなってしまいます。また、話し合っていると「利益を出す」など、ついつい目先の目標になってしまいがちです。プロジェクト初期に「このプロジェクトを通して何を行いたいのか」という長期的な視点での目標を定めておくことが必要だと感じました。