このチームで勝ちたい 山本雄大
このチームに加入して早1年、僕の1年目のシーズンは新鮮な経験の連続だった。なによりもレベルが高い。同じチームにはJクラブのアカデミー出身選手や、全国大会出場を目指すレベルの高校でプレーしていた選手、それ以外にも僕の出身高校にいれば間違いなくエース級だったと思われるレベルの選手がゴロゴロいた。そのうえ九州リーグの他のチームに目を向ければ九州、全国で名の知れた学校やクラブの名前がずらり。対戦する度にその高い技術やフィジカルに驚かされた。他にも指導者がいないこと、対外試合にレンタカーで行くこと、練習するピッチが芝であること、などなど全てが新鮮だった。
終わってみれば11位でギリギリ九州リーグ残留という苦しいシーズンであったが、その1試合1試合を振り返るうえで強く感じることがあった。それは「このチームで勝ちたい」という、ごく単純なものだった。また、負けはしたものの決して歯が立たない敵ばかりではなく、上位に食い込むことも不可能ではないと感じた。そこで得体の知れぬ自信が誕生した。「相手に応じて適切な対策を打ち、良い戦術のもと規律あるプレー、良いゲームをしていけば1部昇格も可能なのではないか?」
良い戦術といっても指導者不在のチームであるため自分で勉強するしかない。前々から読んでいた戦術分析系のブログやTwitterでおすすめされている書籍を片っ端から読んでみることからはじめ、ある程度知識が付いてきたタイミングで新シーズンが始まったため、学びをチームに還元できるよう戦術班に入った。
今シーズンの戦術班では1部昇格を見据え、「格上チームからできるだけ勝ち点を拾い、同等のチームからは確実に勝ち点3をとる」という目標のもとに新たな戦い方を模索している。日々のトレーニングや合宿のなかで少しづつ良いサッカーができはじめている感覚はあるものの、到底2部で勝てるレベルには達していないため、これからもインプットを継続し、良い戦い方や質の高いいトレーニングを構築できるよう、自分自身も成長していきたい。
ここまで戦術について書いてきたが、僕は1部昇格を目指すうえで最も大事なのは、チーム全員が本気で1部に上がりたいと思い、その目標の実現可能性を本気で信じて日々練習することであると考える。いくら良い戦術を構築しても、いくら良い指導を受けても、そこのマインドの部分が欠落していれば勝つことはできないだろうし、逆にそのマインドを持って取り組んで行けば、自然と「勝てる集団」になっていけると思う。
昨シーズンの結果からも明らかな通り今の九大は2部でも技術的には最も低い大学である。この事実と真摯に向き合い、しかし必要以上にその事実に謙虚になりすぎたり怯えたりすることなく、本気で1部昇格を目指して戦っていきたい。個人的にはそんなチームのなかでも下手なほうだという事実を受け止め、技術、精神、身体、頭脳と全ての面で成長し、チームに貢献できるシーズンにしたいと思う。
新2年 山本雄大