インバウンドビジネス入門講座 第3版 訪日外国人観光攻略ガイド
www.amazon.co.jp/dp/4798156388
やまとごころ村山さんの初心者本です。前半のインバウンド大局観やデータのまとめといい、後半の取組事例の掲載数といい、非常に良くまとまってますし、細部にわたってきめ細かく書かれている良書だと思います。インバウンドに取り組むにあたって、この1冊でだいたい入門的な情報は文字通り網羅出来てしまうのではないでしょうか?
■法改正
インバウンドのニーズの高まりを受けて、直近で以下2つの法改正。
①改正通訳案内士法が2018/01に施行、資格を有していなくとも有償での通訳ガイドが可能に
②住宅宿泊事業法(民泊新法)が2018/06に施行、届出のみで住居専用地域でも営業可能に
■一人あたり旅行支出と平均泊数(訪日外国人の消費動向)
各国からの消費額と宿泊数の観光庁の数値が引用されていました。こちらは2018年のものですが、やはり目立つのはアジア圏で、欧米豪からは少ない印象です。理由として、彼らの印象が、「日本はタイなどに比べ未だに物価が高い、ビジネス・技術の国だ(観光向きではない)」といったイメージのためだと言っています。確かにそういった先入観が邪魔する部分はあるのでしょう。
■日本のインバウンド施策の歴史
1854 日米和親条約締結
1866 ローザンヌ・ツーリズム&コンベンションビューロー設立(ヨーロッパ初の観光協会)
1883 鹿鳴館の完成
1889 グルノーブル観光協会設立(フランス初の観光協会)
1893 外客誘致専門機関「貴賓会」スタート
1896 デロイト・コンベンション&ビジネスマンズリーグ設立(米初の観光協会)
1912 ジャパン・ツーリスト・ビューロー設立(のちのJTB)
■ミシュラン星の数で見る日本の食
この本で読むまで知らなかった事実ですが、日本のミシュランの獲得レストランの数は非常に多いと言えそうです。TOP5に3都市が入っており、中でも東京は圧倒的です。
■二次交通需要
外国人が飛行機で日本へ訪れたのち、各都市の移動に費やすコストなども大きな収益と言えそうです。例がいくつか挙げられています。
・Japan Rail Pass→7日間29110円でJR全線乗り放題のお得パス
・鳥取2000円タクシー→周遊タクシー、3時間2000円、ドライバーは観光マイスター資格
・サイクルシェアリング→大阪のHub chariは80%が中国やアジア人
■フリーペーパー
直接設置する紙媒体として効果を発揮します。事前にある程度はWebページでの情報を収集しているでしょうが、やはり現地で得られる情報誌は有益のようです。
・WAttention→着地型(日本で受取り)と現地型(世界11ヶ国で受取り)
・Time Out Tokyo→ロンドン発祥、東京版が2013に創刊
・導遊図→携帯マップ型、年間250万部以上、中国語フリーペーパー最大級
・日本達人→韓国/台湾/香港/中国から日本へのJAL機内で配布
・Good Luck Trip→地球の歩き方の出版社が発行
■世界のMuslim人口
著書内の同一データが見つかりませんでしたが、ムスリム対応も非常に大事ですよ、という話。2015年で世界の17.5億人が該当しており、2060年にはおよそ30億人まで増加すると言われています。
■Muslimへの対応(ハラル対応)
豚肉や豚肉由来の食品(ゼラチン・ラード・ショートニング・乳化剤)がNG
イスラム屠殺されていない牛や鶏もNGの場合あり
原則アルコールは禁止
みりんや醤油も注意が必要
消毒用のアルコールはOKでも化粧品のアルコールはNGという場合もあり