うさぎさんの麻酔②
今日は麻酔のかけ方についてお話しします。
昨日、うさぎさんでは気管挿管が難しいというお話をさせていただきました。
しかし、麻酔をかけなければ、手術は行えません。
なぜなら、麻酔には
①鎮痛作用
②鎮静作用
③筋弛緩作用
の作用があり、
①痛みを感じたら、手術中に目が覚めますし、動物がかわいそうです。
②手術中に動いたら、危ないです。
③筋肉が硬直していると術野を確保できません。
ですので、麻酔をする必要があります。
そこで気管挿管のかわりに、どのように吸入麻酔をするかというと・・・
このようなマスクを用います。
うさぎさんは鼻呼吸をしますので、鼻と口を覆い隠すようにマスクを当てます。
歯牙疾患の治療においては、鼻だけにマスクを当てます。
他には、
鼻からチューブを気管に入れる方法もあります。
でも、いきなりマスクをかぶせようとしたらうさぎさんは嫌がりますよね。
一般的に手術をする際には、マルチモーダル麻酔と言って、複数の薬剤を使用し麻酔導入を行います。そうすることによって単独の薬剤を使うよりも、少量で麻酔の効果が期待でき、かつ安全です。
麻酔をかける前に、酸素化といって酸素を吸入してもらいます。酸素化することによる麻酔のリスクは大きく軽減します。
麻酔前投薬には、筋肉注射による鎮静、静脈注射による不動化を行い、イソフルランによる吸入麻酔を行います。たびたび静脈注射は省略します。その場合は、ボックスに入れてイソフルランをかがせることを行います。
そうして、眠った段階でマスクをつけるのです。
術部には、局所麻酔も使用し、切開部に痛みを感じないよう、疼痛管理を行います。
うさぎさんは、術後、目が覚めたときに、飛び跳ねてけがをすることを予防するため、抱っこするか、ケージの中にふわふわの布団を敷きつめて、目が覚めるまでスタッフが見守ります。
以上が麻酔をかけて手術をする方法です。
安全に行うためには、術前の検査、術中の心電図などのモニター、術後の管理が必要となります。