タイワントビナナフシ
ナナフシの仲間は何種類もいます。大きなナナフシも、小さなナナフシも。
ナナフシには翅の無い仲間の方が多くて、翅を持っているナナフシの方が少ないんですね。小学生用の図鑑には日本のナナフシが何種類か載っていますが、ふつう翅のあるナナフシは「トビナナフシ」一種類が書いてあるのではないでしょうか。私の持っていた少年昆虫図鑑はそうでした。
だからトビナナフシは珍しいし、私の中では滅多に見られない「激レア!」な存在だったのです。かつて小学生だった私は東京の高尾山で一回だけトビナナフシを見つけて喜びました。そんな激レアのトビナナフシが近所の公園で小学校の総合学習授業を開いていたとき、子どものひとりが発見したんです!
さすがに子どもは目が良くて動いている生き物をよく見つけられる!と感心しました。
その激レアなトビナナフシをよく鑑定してもらったら「これはタイワントビナナフシ」と結論されました。日本の在来種であるニホントビナナフシではなかったのです!?
・・・ちょっとショック。。
でも何でショックなんでしょう? まあ環境の変化のせいもあって、海外から何かの理由で運ばれて、台湾からここ日本の桂坂まではるばる旅をして辿り着いて住むことになったお客さんトビナナフシなんです。タイワントビナナフシが日本で住めるということは気温が以前より上がっていることなんだろう?と思うと複雑な気持ちも漂いますが。
ところで台湾や中国からは渡り鳥が行ったり来たりしています。
学者の研究によると、お母さんナナフシは運悪く鳥に食べられても、卵の何割かは鳥の消化器官では消化されずにフンの中に混じって地面に落ち、そこから子供ナナフシが生まれるらしいです。
もしかしたら、台湾からの渡り鳥がタイワントビナナフシの卵を日本にまで運んで来たのかもしれません。翅は持っていてもほとんど飛べないトビナナフシですが、運悪く食べられて子孫をいろんな場所に広げる作戦。まさに「転んでもタダでは起きるな!」という貪欲なナナフシの一面を想像させてくれますね!
ちょっと修正します(2020.06.16)
タイワントビナナフシは必ずしも台湾からの外来種ではない説があります。それによるともともとタイワントビナナフシの生息範囲が日本の近畿から南にまで広がっていたとありますので、もしかしたら近畿から西日本では在来種の可能性があるとのことです。
しかし現在では関東地方などでもタイワントビナナフシが見つかっている記録がネット上でも見つかるため、生息地がたぶん温暖化により北上して「国内外来種」となっているものと思われます。