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a gate

大音響の思い出<チャイコフスキー ピアノ協奏曲第1番>

2020.03.23 11:01

 みなさんの自発的な『初めてのクラシック音楽体験』『クラシック音楽との出会い』はどんなものでしたか?


 私は、母がクラシック音楽好きで(ベートーヴェン、チャイコフスキー好きと音楽の趣味は偏りますが)、

たった数枚でしたが、家にオーケストラのLPレコードが数枚ありました。

 当時の実家には居間の壁に建て付けの棚があり、その一番下の左右両脇にスピーカーが隠れているのを見つけてしまい、なんでもまず1人でこっそり試してみたかった私は、母には黙ってそのLPプレーヤーを探り探り使ってみたのです。


 LPプレーヤーの入っている扉を手間に倒して開け、居間のソファをスピーカー側に引き寄せると、ちょうど片側の壁も助けて、そこには私1人が入れるだけの小さな空間ができました。目の前にあるのはスピーカーの片方だけ。手に取ったLPにそぉっと針を乗せて、スピーカーの前に座り込みます。

 その時スピーカーから出てきた爆音がこのチャイコフスキー<ピアノ協奏曲第1番>でした。私は小さな空間で身動きもせず、ただこの大音響を堪能しました。音楽はクラシックですが体験はロックコンサートみたいなものだったのかもしれませんね。


 今となってはそのレコードが手元になく、いつの誰の演奏だったかわからないままですが、その演奏は今も耳元で鳴るくらい素晴らしいものでした。チャイコフスキーの織りなす和音進行の妙に『一体どんなことになってるんだろう⁇』『どうやったらこんな和音進行を考えつくんだろう…』と何度もレコードの針を戻し、決してか弱くならないピアニッシモの演奏が心を下から撫でるような感覚にも襲われ、幾度となくなんとも言えない気持ちにさせられ続けました。


  非常にわかりやすく触発された『自発的クラシック音楽鑑賞デビュー』曲なのですが、今でも演奏を鑑賞する時の私の感覚はここにあるような気がします。全身で受け止めて、作曲家やその楽曲を体の芯で感じることは、自分の稽古の段階でもとても大切にしていることです。自分の練習を何度も録音して、聴いて添削して、また練習…そんな日が来るとはまだ知らなかったあの時のレコード鑑賞は、毎日2〜3時間に及んでいました。今よりずっと熱心です(笑)


 YouTubeでもたくさんの音楽鑑賞ができるようになってきたのでコチラにもいくつかリンクを貼ります。

非常にベタな選曲ですが、誰もが知るチャイコフスキー<ピアノ協奏曲第1番>。お時間のある時に是非。



指揮 ゲルギエフ/ ピアノ 辻井伸行/ マリンスキー劇場交響楽団(2012年録音)

https://youtu.be/Bj_DgWSI5ZM


指揮 ゲルギエフ/ ピアノ ヴォロディン / マリンスキー劇場交響楽団(2008年録音)

https://youtu.be/yEqyhlt1Ut4


指揮 ズービン・メータ / ピアノ バレンボエム / ベルリンフィルハーモニー(2012年録音)

https://youtu.be/2Cfh6jgvxXU