GENSEKI ~独立を目指す君へ~
もし誰かを育てたいと思ったときに、何か一つだけ能力を授けられるとしたら・・・
私は迷わず「考える力を」と神龍(シェンロン)に頼むことでしょう。
これほど頼りになり、身を助くモノはないはずです。
では「考える力」を育ませるために必要なものは何だろうかと考える。
これまた吾輩の考える力なり。
考える力、即ち思考力・推理力・仮説力・分析力などの大元は囲碁で言う定石のように、先人が築いた知恵を拝借することが非常に重要であり、今現在 この世に出回っていないアイディアは「誰も思いつかなかった」のではなく「誰かが試して無意味だと判断し風化した」ということの方が遥かに多いと思っています。
ただ、そんな話とは裏腹に生まれて数年の業界に関しては、まだまだズバ抜けた思考力が重宝するシーンは多々あります。
さて、この考える力をどのように磨いていくべきなのか私の実体験をもとに考えてみたいと思います。
私は大学卒業時からパーソナルトレーナー兼ピラティス指導者として活動してきました。
まだカリキュラムが今ほど揃っていない時代ですから、動画でネタを収集するなど有り得ない頃でした。
そんな中、成長するために必要な要素は如何に多くのお客様を対応するかでしかありませんでした。
多くの場合、サラリーマンを脱サラして、また大手スポーツクラブを辞めて この業界に飛び込む方が多いため、そのようなケースでは安定した20~40万円ほどの収入が既にあり、そのラインに達しなければ独立をするメリットがないと考えてしまい、生活レベルを下げてまで取り組むことが困難となってしまいます。
しかし、大学卒業時の若者にとっては実家暮らし+10万円でも収入があれば豊かな生活が送れます。
この成長のために、あえて価格を下げて1000人のお客様を対応できるという環境を作ることが長期的な計画に則り、圧倒的な失敗経験を積める環境セッティングとなります。
これから独立を目指そうという皆様へ。
自分の所得が20万ほどにもかかわらず、お客様から多額の対価を頂くなど修業が足らないと思ってください。
仕入れのないビジネスにおいて、その他の多くの事業より圧倒的に有利と考えられるこの業界において、技を磨かない者が 多くの対価を頂くなどあってはなりません。
多額の対価をお支払い頂くお客様はきっと あなたの数倍も所得を得、多くの見識を持ち、技術以外の何かもお求めになられているはずです。
もちろん その良し悪しを判断するのは私ではなく 各お客様ですからコメントはこの辺りにしておきますが、少なくともこれだけは胸にしまっておいて欲しい。
多くの経験を積み、素晴らしい指導者になって、この業界がファスト化することなく格式高い職業であるよう、指導者としての振る舞いを常に意識して欲しい。
指導現場で最も大切な工程は「失敗を積み重ねること」です。
ですが、お客様のカラダで失敗をするとは どういう意味だと思いますか?
リスクやケガに繋がるエクササイズを当てはめて良いわけがありません。
では、どうするのが賢明か考えてみてください。
① 自分の実力で対応できそうな案件のお仕事をしっかりとこなす
② その現場で何を得たのか上司にフィードバックする
③ 上司からコメントをもらう
④ 上司は部下が何を学べたのか理解する
⑤ 失敗を繰り返す
⑥ 失敗の数を減らし精度を上げる
上記の工程で大切なポイントが2つあります。
上司が部下に仕事を振る時に、そのクライアントの特徴を上司は予め見抜いておき、部下が得た感覚と上司の読みがどの程度一致するのかをチェックします。
また⑤の 失敗を繰り繰り返す というのは60分の中で15~20種類ほど良いと思って当てはめたエクササイズが、実はクライアントにとっては「可もなく不可もなく」というものであった、というレベルの失敗です。
つまり、お客様に無意味な時間を過ごさせてしまったという失敗です。
これは今現在の私でもゼロではありません。
60分の中で20種類以上行われるエクササイズの中には、実は効果的ではないという失敗エクササイズが2~3個は存在しています。
しかし、この失敗を繰り返した結果 妥当性が上がり、良い指導者になるのです。
では考える力のある皆さんであれば もうお分かりですよね。
成長のために必要なステップが。
失敗できる環境を用意すること、他なりません。
それは病院でもなく、時間がタイトなサービスでもなく、マニュアルだらけの職場でもありません。
そして技術的に成長し良い指導者になるには、ビジネスの能力(上記のような環境を自らの思考力と実行力と計画力で企てる能力)が必要になるのです。
結論、良い指導者は良いビジネスマンであるということです。
追記:
この年度の切り替え時に新入社員が加わり、卒業をするスタッフがおります。
独立を果たすスタッフには気持ちよくお別れをし、新たに加わるスタッフには既に研修が行われています。
私たち株式会社ヒューマンプロは運動のプロであると同時に「ヒトのプロであれ」をモットーにお仕事をさせて頂いております。
人材育成のプロフェッショナルは30年後の隠居生活後に相談役や社外取締役として重宝することを夢見ています(笑)
さあ、今日もいってらっしゃい!