「Grimme Marchen」Marlene Reidel
ドイツの絵本作家、マーレン・リーデル(1923-2014)
日本では余り知られてはいない作家ですが、ドイツ語圏ではかなり人気のある(あった)絵本作家で、100冊以上もの本を手掛け、ドイツ国内では幾つもの賞を受賞しています。
当店でも何回か紹介したことがあったかと思います。
ドイツの絵本を良く見ている方にはわかると思うのですが、1960年代から80年代頃のドイツ絵本のイラストレーションにはある傾向がありますね。
代表的な作家は、ビネッテ・シュレーダー、リロ・フロム、アンネゲルト・フックスフーバー、マーレン・リーデル、初期のバーナデット・ワッツなどでしょうか。
名前を上げると(それぞれの作家の絵を思い浮かべることが出来るのであれば)なんとなくその傾向がわかるのではないでしょうか。
シュルレアリスムと古典物語の融合とでも言えるかのような、ちょっと不気味な暗い感覚。
マーレン・リーデルはシュルレアリスムの要素はやや少ないですが(今名前を挙げた作家で言うと、リロ・フロムと近い感触がある作家ですね)、その絵の帯びている空気感には共通するものが感じられます。
現実ではない不思議な世界。
見たことはないはずなのに、何処か懐かしく、夢を見ているかのような、想像力を掻き立てられる絵。
このマーレン・リーデルの3冊の絵本はどれもグリム童話の物語にマーレン・リーデルが挿絵を描いたものです。
以前にも入荷したことのある「MARCHENBILDERBUCH」(9篇収録)「SIEBEN MARCHEN」(7篇収録)にはそれぞれ被りはなく代表的なグリム童話(ラプンツェル、白雪姫、赤ずきん、ヘンゼルとグレーテル、星の銀貨、眠りの森の美女、七羽のからす、などなど)が収められています。
共に大きな判型で、この作家の絵を十分に楽しむことが出来てオススメです。
表紙もすごく良いですよね。静かな、それでいてちょっとワクワクするような、そんな気持ちになれます。
この二冊より前に出版された「Grimm Marchen」には63のお話が収録されていて、話数としてはお得ですが判型は前の二冊よりも少し小さくなります。
ですがカラーイラストは45ページ入っていて(さらに白黒イラストも入っています)、また先の二冊と同じグリム童話のお話も入っているのですが、同じお話の絵でも、なんと絵が違うんです。
後に出た二冊では描き直していたんですね。
見比べて見るととても興味深く、面白いですね。
ぜひオンラインストアの方でもご覧ください。
当店のマーレン・リーデルの絵本はこちらです。