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「かっこうをそだてたにわとり」エリザベト・イバノブスキ Elisabeth Ivanovsky

2016.05.11 06:19

ベルギーで創業のCASTERMANが出版したファランドールえほんシリーズが数冊入荷いたしました。日本では30年以上前にブック・ローン出版が15冊ずつ箱入りのセットで販売しており、今回入荷したものもすべてこちらの日本語版です。

たくさんの作家によって描かれた動物やこどもを題材にした世界は、当時のこどもたちに大変親しまれましたが、現在では絶版になっています。

入荷した中から今日は、昨日より始まった「愛鳥週間」にぴったりな一冊をご紹介します。

ベルギーの画家エリザベト・イバノブスキの「かっこうをそだてたにわとり」です。 お話はこのファランドールえほんのマルチーヌシリーズで知られる、同じくベルギー出身の作家ジルベール・ドラエイです。ある農園で暮らすにわとりの巣に、ある日卵がひとつ入っていました。にわとりは、わたしにそっくりな子が生まれるにちがいないと、大切に卵をあたためます。ところがかえったひなは、にわとりにもひよこにも似ていない、灰色の鳥でした。これはにわとりのこどもなんかじゃないと、ほかの鳥に言われますが、にわとりはかまわず育てます。やがてひなはかっこうかっこうと鳴くようになり、空へ飛び立っていってしまいます。飛んでいってしまったわが子を追いかけて、飛べないにわとりはほかの鳥や動物たちにうちの子を見なかったかと聞いてまわるのですが…

これは、托卵という卵の世話をほかの鳥に托すかっこうの習性をそのまま取り入れたお話です。最後は少し寂しい気持ちになりますが、全体を通してつよく伝わってくるにわとりの愛情には胸を打たれるものがあり、読後に余韻ののこる物語ではないかと思います。

イバノブスキによる鳥たちの描写が見事で、かささぎ、きつつき、きじなど、途中にわとりが出会うたくさんの鳥の名前とともに、その鳥の特徴を捉え丁寧に描かれた美しい姿を楽しむことができます。

イバノブスキの描いたファランドールえほんは、他にも 2点入荷しております。どれも、愛らしい動物たちを主役に描かれた素敵な絵本です。