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テマヒマ

機微

2020.03.29 22:00

おはようございます。


暮らし、味わう。


民藝と発酵をモノサシに

食を通して暮らしの豊かさを提案する

古民セレクトショップ&カフェ テマヒマ

プロデューサー、バイヤーの太田 準です。


臨時休業を決めたこの週末は、おかげさまで久しぶりにゆっくりまとまった読書の時間が

取れました。というわけで?再読してました

”民藝の機微〜美の生まれるところ〜”(松井健著)から少し内容を自分的咀嚼を交えてご紹介

したいと思います。

テマヒマでカフェメニューの中に取説的に民藝とは?というペーパーを挿していますが、

民藝の要素として、①実用性②無銘性③複数

性④廉価性⑤労働性⑥地方性⑦分業性⑧伝統

性⑨他力性、を挙げています。が、これだけ

では十分ではなく、美しくなければなりませ

ん。そこが抜けてしまうことで民藝は民芸に

そして土産物的なものに堕してしまいかねません。柳宗悦はその美の特色として①無事の

美②自然さの美③健康な美④無我の美⑤単純

の美⑥親しさの美⑦自由さの美を挙げていま

した。

民藝だから美しいのではなく、美しいから民

藝、否、美しいものは美しい、のですが。


この”美”について大事なことは、美学が哲学の

一分野である西洋では観念的•抽象的であるが

柳宗悦のいう美は、美しいモノという個別的•

具体的なものであること。”観るよりも知るこ

とを先に働かす者は美に触れることが出来な

い”と直観の大切さを柳宗悦が説いているのは

心に留めておかねばならないと思います。

濱田庄司は、民藝運動の核になるのは健やか

さ、自然さ、美しさの3つとした上で、美と

いう言葉に重きを置くことを避け(柳のように

宗教的意味をも持たせることを避け)自然の力

に正しく従い無理なく手順を丁寧に踏んで作

られたものは自然と美しいとしていたようで

す。


その正しい質と懇切な仕事と健康な美しさを

持ち合わせた民藝ですが、工人•職人が伝統に

基きながら少しでも良いもの、美しいものを生み出そうとする(柳宗悦言うところの他道)

のと、(民藝)作家が(柳が見出した)美を理想と

し、そこから学びながらも模倣ではなくよく

消化し自らのものとして生み出す(同•自力道)

のとがあり、後者については自我、我執から

離れる、はからいや作為から自由になること

によって美しくなる、としています。

松井健さんはその作家について情熱派(僕は観

覚派と言い換えてもよいと思いましたが)と理

性派に分け、河井寛次郎を前者、濱田庄司を

後者として、情熱派は創作意欲に身を任せる

ことで自我への執着を易々と飛び越えてしま

うのに対して、理性派は、濱田庄司自身が”覚

えるよりも、それを忘れる方が時間が必要”と

言ったように難しいことだという分析は興味

深かったです。

さて、民藝の配り手はどうあるべきか?とい

う言及が、柳宗悦や民藝同人、そのパトロン

だった人達からあったかどうかについて、不

勉強のため僕は分かりません。作り手に対す

るこういった見方、考え方をそのまま当ては

めることは難しくまた適当ではないかとも思

います。その上で、自分自身を分析するに、

このブログでもマーケティング的なことより

はブランディング的なことをといったことを

書いてきましたが、過度なマーケティングを

毛嫌いしながらも染み付いてたり、ブランデ

ィングと言うぐらいですから、お店としての

オリジナリティ、まさに自我や意図、作為は

やはりあって意識的、理性的です。それも以

書いたようにいつか無意識に感覚的に出来

たらいいなぁと思っていたりします。

そして、富本憲吉の言った”模様から模様を作

らず”ではないですが、全く違った世界のこと

を参考することによりオリジナルになる気

がしますし、濱田庄司の言った”巧匠跡を留め

ず”ではないですが、何かを参考にするにせよ

自らできちんと消化することによってオリジ

ナルになる気がします。以前からこのブログ

でも、掛け合わせの妙、といったことを書い

ていますが掛け合わせるだけでなく融合する

レベルでしょうか。

そんなことを考えてた週末です。

と強引にまとめたところで。。。

大阪府の外出自粛要請に合わせ週末2日間の

臨時休業をしたテマヒマですが本日は通常営

業です。11時オープンで皆様のお越しをお待

ちしております。ランチの11時半のお時間は

ご予約で残り4席となっています(密接を避け

るため多少座席を空けるようにしています)。

それでは、好いモノ、好いコト、好いトキを

テマヒマで。今日も好い一日を!